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アメリカで最速試乗! 世界中が注目する電動ハーレー『ライブワイヤー』のライドフィールを徹底レポート!!

2019.08.07

アメリカ・オレゴン州ポートランドにて、今夏中に全米販売を開始するハーレーダビッドソン初の電動モーターサイクル『ライブワイヤー(LiveWire™)』の報道関係者向け試乗会が開かれました。日本から参加したモーターサイクルジャーナリストの青木 タカオさんのインプレッションを、余すところなくお届けします。

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クリーンで快適、強烈なダッシュ力も伴う電動モビリティ

なんというダッシュ力でしょうか。右手のスロットル操作にクイックに反応し、油断すれば振り落とされそうなほどに強烈です。停止状態からのフル加速では、駆動輪であるリヤタイヤがいとも簡単に空転するほどのビッグトルクで、0→100km/h加速はわずか3秒、100→129km/hへはたったの1.9秒、ハートを揺さぶる駆動力で最高速の177kmに達します。

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電動パワートレイン「H-D Revelation」は最大出力105ps、最大トルク86ft.lbs(約116.6Nm)を発揮。どのスピードレンジにおいても、優れた追い越し加速を発揮できるのが、電動モビリティの大きな強みと言えるでしょう。にも関わらずクラッチ操作やシフトチェンジが不要で、操作はイージー。メンテンスの多くを不要としたことも魅力のひとつです。

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クリーンで快適。それでいて、メカニカルサウンドも胸高鳴るものに。これはまさに革命ではないでしょうか。国内外のメーカーを問わず、ニューモデルが登場するたびにさまざまなモデルに乗ってきた筆者ですが、まったく新しいこの感覚に驚きを隠せません。
「電動は味気ない……?」
体験してわかりました、そんなことはありません。少なくともサウンド、フィール、ルックスを重視するハーレーダビッドソンにおいては。

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急速充電にも対応、進化するライブワイヤー

『Project LiveWire』(ライブワイヤー開発計画)が発表されたのは2014年夏のこと。「ハーレーダビッドソンが電動バイク……!?」と、世界中に衝撃が走ったことをよく覚えています。翌2015年2月には全米30都市に続き、アジアでもプロトタイプの招待制試乗会『Project LiveWire Experience』が開催され、筆者もマレーシア・セパンサーキットにて乗る機会をいただきました。

アメリカで最速試乗! 世界中が注目する電動ハーレー『ライブワイヤー』のライドフィールを徹底レポート!!2015年に「Project LiveWire Experience」(マレーシア・セパンサーキット敷地内)で試乗したプロトタイプ。

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その時点で0→100km/h加速4.0秒以下という実力を持ち、完成度はかなり高いレベルにあると感じたことを記憶しています。あれから4年が経ち、ついに公道へ走り出すことができたのです! 昨夏の米国ミルウォーキー「ハーレーダビッドソン創業115周年アニバーサリーセレブレーション」にて展示され、そこではパレードを走る姿も披露されました。4年間、その進化過程をずっと追いかけてきた筆者としては、今回のテストライドで走り出す一瞬は、まさに感動の瞬間だったのです。

アメリカで最速試乗! 世界中が注目する電動ハーレー『ライブワイヤー』のライドフィールを徹底レポート!!レベル1の充電器が搭載され、シート下に収納する専用の電源コードを使って米国内の一般家庭120V(または240V)電源につないで充電することができるほか、最新の急速充電(DCFC)テクノロジーにも対応。コネクター はSAE J1772(ヨーロッパなどではCCS2-IECタイプ2)に適合しています。

アメリカで最速試乗! 世界中が注目する電動ハーレー『ライブワイヤー』のライドフィールを徹底レポート!!レベル1のRPH(充電1時間あたりの走行可能距離)は13マイル(約21km)で、一晩でバッテリーが満充電されます。レベル2のチャージングステーションにも対応しますが、充電速度はレベル1相当です。

ライブワイヤーは4年間で著しい進化を遂げていました。市街地走行における走行可能距離は235kmにもなり、ストップ&ゴー走行と高速道路での走行を合わせた測定結果によれば、152kmとなっています。走行可能距離が伸びただけでなく、急速充電に対応したことも見逃せません。コネクターは北米で普及する「Combo1(コンボ・ワン)」で、80%までの充電ならわずか40分、100%までフルチャージしても60分で済んでしまう仕様でした。

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チャージングステーションは全米650店舗あるH-D正規ディーラーのうち、150拠点で設置済みとなり今後も増えていく予定。ライブワイヤーは2019年中に欧州でも発売され、正規ディーラー100店が充電設備を整えました。2021年まで、全世界で順次導入されます。

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そして、軽量なアルミフレームと車体剛性メンバーとなる15.5kWhの高電圧バッテリー(リチウムイオン電池で構成される)には冷却フィンが刻まれ、車体に取り付けられた小型のエアスクープによって走行風が当たるよう設計されています。

シャシー底部に縦置きにマウントされた液冷式三層ブラシレスモーターは鍛え上げられた筋肉のよう。出力を90度変換し、ドライブベルトスプロケットを後輪に合わせて調節するためにはギアセットが必要ですが、それがライブワイヤー独特のメカニカルサウンドを生み出しています。

アメリカで最速試乗! 世界中が注目する電動ハーレー『ライブワイヤー』のライドフィールを徹底レポート!!LEDヘッドライトにはスピードスクリーンが組み合わされ、精悍なフロントマスクを演出しています。

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車体重量は249kgまで絞り込まれ、これは『フォーティーエイト スペシャル(XL1200XS Forty-Eight® Special)』のわずか1kg増しという、電動モーターサイクルとしては驚異的な軽さ。テールエンドはリアシート後端でバッサリ切り落とされ、見るからに軽やかです。ターンシグナルやテールライトはスイングアームマウントのライセンスホルダーにマウントされ、スッキリとした処理のリヤビューになっています。

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ロードスポーツとしても目を見張る完成度の高さ

テストライドはポートランド市街を抜け、ダイナミックな山岳路が続くマウントフッドハイウェイをメインに38マイル(約62km)のコースでおこなわれました。瞬時に最大トルクを発揮するエレクトリックならではのパワフルでレスポンシブな走りに、試乗中は終始酔いしれていましたが、これほどにエキサイティングな走りを味わえるのは、高い運動性能を持つ車体構成のおかげでもあります。

ハンドリングが軽快で、コーナーアプローチではイン側に荷重を掛けるとスムーズに車体が寝ていき、狙ったラインを外しません。前後17インチのアルミキャストホイールにはミシュランと共同開発したラジアルタイヤがセットされ、路面をしっかり捉えて接地感をライダーに伝えています。Vツインエンジンのような張り付くほどの粘着感はないものの、トラクションコントロールが安心感をもたらし、容赦なくアクセルを開けていけるのです。

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スムーズに動き、ストロークの奥ではしっかりと踏ん張りが効く前後サスペンションはSHOWA製フルアジャスタブル式で、前輪ブレーキはブレンボ製モノブロック対向4ピストンラジアルマウントキャリパーと300mmフローティングディスクローターというサーキットスペック。高性能な足まわりが、次元の高いスポーツライディングに対応し、完成度の高いロードスポーツバイクとしています。

この仕様には舌を巻くばかりです。クルーザーを主軸としてきたハーレーダビッドソンにおいて、このロードスポーツとしての出来映えの良さを踏まえると、今後のVツインスポーツにも大きな期待を持てます。旋回性の高さには目を見張るものがあり、だからこそ我々ジャーナリストをこうしたエキサイティングなワインディングへ連れ出したというわけです。

4つのライダーモードで日常使いのパフォーマンスを

冒頭でもお伝えしたとおり、ダッシュの力強さは驚異的と表現できるレベルです。ですから「そんな過激なモーターサイクル、ビギナーには扱いづらいのでは?」と、そんな声が聞こえてきそうですが、その心配は要りません。
スロットルレスポンスや最大加速度、トラクションコントロール、回生設定(スロットルを開けていないときのブレーキング効果として感知される動作)が予め設定された4つのライダーモードが用意され、状況や好みに合わせてモーターサイクルのパフォーマンス特製を選択することができるのです。

アメリカで最速試乗! 世界中が注目する電動ハーレー『ライブワイヤー』のライドフィールを徹底レポート!!高画質ハイコントラストの薄膜トランジスタ液晶ディスプレイを用いた4.3インチカラーTFTタッチスクリーン。見やすい角度に調節でき、画面の明るさは自動調整されます。スピード、走行可能距離、バッテリー残量を常に表示し、走行中はハンドコントロールジョイスティックを使って各種情報を切り替えて確認できました。

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存分にそのポテンシャルを引き出せる「スポーツモード」は、ワインディングでスポーツライディングに集中したいときに最適でした。回生ブレーキの効きが強くなり、コーナーアプローチでアクセルを戻すと思いのままに減速でき、エンジンブレーキに代わる役割を果たしてくれます。ピックアップが鋭く、カーブの立ち上がりも胸の空く加速を味わえるのですから、エキスパートライダーは病みつきになること間違いなしでしょう。

「ロードモード」は車体の挙動が落ち着き、クルージング時に相応しく、「レンジモード」はバッテリー残量から走行距離を最大限引き出すために加速も穏やか。路面が滑りやすい雨天時用の「レインモード」は加速と回生が制限され、電子制御の介入レベルが高くなります。さらに各設定を自分好みに細かく調整できる「カスタムモード」もA、B、Cと3種類までメモリーさせておくことができます。

良好な接地感を生むVツインエンジン搭載車では必要性がなく、これまでトラクションコントロールなどの電子制御を搭載してこなかったハーレーダビッドソンですが、ライブワイヤーでは6軸慣性計測装置(IMU)を利用した最新の電子制御ユニットが組み込まれ、先進性や技術力の高さをアピールしています。ツーリングファミリーで熟成の域に達したオートクルーズコントロールは、電動となっても高速巡航で快適さをもたらしてくれましたし、コーナリング中の減速でもアウトに膨らむことがないコーナリングABSもありがたい装備です。

H-Dコネクトテクノロジーでより快適なライドへ

専用アプリを用いてスマートフォンと連携する「H-Dコネクトテクノロジー」は、クラウドに接続するLTE対応モデムとして機能させるTCU(テレマティクスコントロールユニット)を利用したものです。四輪車ではコネクテッドカーの開発が先行して進んでいますが、モーターサイクルではかなり先進的と言えます。

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H-Dアプリを通じてスマートフォンとモーターサイクルを繋ぐH-Dコネクトサービステクノロジーを搭載。iOSとAndroidそれぞれのアプリストアから入手でき、ターン・バイ・ターン・ナビゲーション、ライド・プランニング、販売店やイべントの検索など、主要機能は無料版でも利用です。

渋滞や駐車場の空き情報をライダーに知らせたり、故障や事故発生時に保険会社に自動的に連絡する、さらには路車間・車車間通信など大きな可能性を秘めていますが、ライブワイヤーではまず充電ステーションの検索や、バッテリー状況などがH-Dアプリを介して把握でき、盗難車両追跡機能などが使えます。

2019年秋からアメリカ、カナダ、プエルトリコ、そしてヨーロッパの大部分で利用可能となり、2020年8月後半にはオーストラリア、ブラジル、メキシコでもサービス提供を開始する予定。購入後1年間は無償で試すことができ、それ以降は有償で継続利用できます。

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こうして電動であることだけでなく、注目点が満載のライブワイヤー。価格は29,799USドルで、2019年中に北米、ハーレーダビッドソンが営業活動を展開している欧州諸国の大部分で発売され、2020年から2021年にかけて順次世界各国で発売される予定です。日本導入が待ち遠しいのは、言うまでもありません。

Text:モーターサイクルジャーナリスト 青木 タカオ
Photos:ハーレーダビッドソン ジャパン

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