アメリカと同日発表となったハーレーダビッドソン2019年モデル。中でもセンセーショナルなデビューを果たしたモデルFXDR™️114が早々に日本上陸を果たしました。ドラッグレーサーにインスパイアされた同モデルの内なる魅力について、ハーレーダビッドソンジャパンのスペシャリストにお話を伺いました。
毎年、夏になると発表されるのがハーレーダビッドソンのニューモデル。今年の注目はなんといっても、これまでのビッグツインモデルのイメージを覆すアグレッシブなルックスを持つ『FXDR™️114』。ドラッグレーサーを彷彿させるスタイリングは街乗りやツーリングでの快適性はもちろん、コーナリング性能の高さも大きな魅力のハーレーと言えます。東京都内のカフェで開催されたハーレーダビッドソン2019年モデル展示撮影会では、異彩を放つ同モデルにメディア関係者からも高い注目を集めていました。今回はそんなFXDR™️114の詳細に加え、日本語ナビを標準装備したツーリングファミリーなど、2019年モデルの注目ポイント、さらにイベントの模様などをご紹介します。
2018年8月23日より全国の正規販売店で一斉に発売開始となったハーレーダビッドソン 2019年モデル。さまざまなバージョンアップを果たしたラインナップにニューカマーとして加わったのは、ソフテイルファミリーにこれまでにないイメージをもたらせるFXDR™️114です。
FXDR™️114のマッシブなルックスはハーレーダビッドソンらしさを残しつつ、まったく新しい魅力を発する。
その最大の特徴は、ドラッグレーサーを彷彿とさせるデザイン。フロントに備わるフロントフェアリングやレーシングスタイルを描くソロシートとシートカウルなどが気分を盛り上げてくれます。また、搭載するエンジンはソフテイルファミリー共通となる『ミルウォーキーエイト(Milwaukee Eight®)』114(排気量1,868cc)で、ラインナップのなかでもっともパワフルでパフォーマンスの高いエンジンです。倒立フロントフォークや新型アルミスイングアーム、フロント19 / リア18インチの軽量ホイールなども相まって、見た目だけではない高いレベルの走りが期待できそうです。
このULTRA LIMITEDをはじめとするツーリングモデルが大幅にバージョンアップ。
日本語に対応したインフォテインメントシステム。Apple Car Play をインストールしたiPhoneを繋げば、ナビも使える。
ツーリングファミリーでは、インストゥメントパネルに「BOOM™! BOX GTS」を採用。これはモーターサイクルに必要な耐震性や耐水性を持ちながら、タブレットを思わせる現代的なデザインや機能が与えられた最新のインフォテインメントシステムで、ハンズフリー音声認識や日本語ナビ、さらにApple Car Playにも対応しています。今回のアップグレードによってツーリングがさらに快適に、楽しくなることでしょう。
また、『ロードキングスペシャル(FLHRXS Road King® Special)』、『ストリートグライドスペシャル(FLHXS Street Glide® Special)』、『ロードグライド(FLTRX Road Glide®︎)』、『ロードグライドウルトラ(FLTRU Road Glide® Ultra)』、『ウルトラリミテッド(FLHTK Ultra Limited)』、『ウルトラリミテッドロー(FLHTKL Ultra Limited Low)』の6モデルでは『ミルウォーキーエイト(Milwaukee Eight®)』114が標準装備となりました。よりパワフルで鼓動感あふれるエンジンが、旅をさらに官能的にしてくれるに違いありません。
展示・撮影会会場となった「STREAMER COFFEE COMPANY 五本木」。当日はハーレーダビッドソン2019年モデルがずらりと並んだ。
去る2018年8月22日(水)、東京都目黒区にあるカフェ「STREAMER COFFEE COMPANY 五本木」でハーレーダビッドソン2019年モデルの展示・撮影会が開催されました。貸切となったこの日の店内はハーレーダビッドソン一色。さまざまなモデルが並ぶ中で、最も注目を集めたのはニューモデルのFXDR™️114です。カフェの中央に鎮座するFXDR™️114を囲むように集まる関係者が、雑誌やウェブメディア向け記事用の撮影をしていました。
日本上陸を果たした2019年モデルのニューカマー、FXDR™️114。
ヘッドライトやウインカーにはLEDを採用。ブラックアウトされた倒立フォークやスピード・スクリーンも相まって、近未来的な雰囲気を醸し出す。
デジタルメーターはスピード・スクリーン内側に収まり、すっきりとしたハンドル周りを演出する。
スポーティーなイメージを全面に押し出した2into1メガホンマフラー。深いバンク角を可能にする形状に、このモデルの性格を見ることができる。
リアタイヤ幅は圧巻の240mmサイズで、スイングアームはこのモデル専用となるアルミ製。短いシートカウルが迫力のリアビューを生み出している。
ホイールは軽量タイプで、ハイレベルなスポーツ走行をアシストする。また、フロント19/リア18インチというホールサイズからも走りに対するこだわりが見て取れる。
テールランプとリアウインカーもLED仕様に。小さすぎず、それでいてシャープなデザインが新鮮だ。
さらに日本語対応を果たしたツーリングファミリーとトライクも展示。「これぞハーレーダビッドソン」といった威風堂々としたモデル群は、カフェのオープンスペースに展示されていたこともあり、街行く人たちの注目も集めていました。
ちなみに会場となった「STREAMER COFFEE COMPANY 五本木」は、普段はラテアートを施したカフェラテなどで人気のカフェ。2階にはフランスの古着ショップ「KILO SHOP TOKYO」があり、まるで海外のお洒落なお店に足を踏み入れたような気分になれます。デートや買い物に訪れてみてはいかがでしょう?
ハーレーダビッドソン ジャパンでテクニカルサポートを担当している平田 大介さんにお話を伺うことができました。まずお聞きしたのは、FXDR™️114がドラッグレーサースタイルを目指すことになった背景について。
「ハーレーダビッドソンはより幅広い層へのアプローチを展開しているところで、人気の高いモーターサイクルシーンのひとつであるドラッグレーサースタイルに、スポーツライディングを積極的に楽しみたいというご要望にも応えるべく、FXDR™️114という発想と開発につながったわけです」
と平田さん。つまり、より若い世代に訴求すべく、ハーレーでは確立されたドラッグレーサースタイルに、スポーツ走行性能と現代的なエッセンスを落とし込んだFXDR™114 が誕生したということ。もちろん見た目だけではなく、エンジンは最高峰となる『ミルウォーキーエイト(Milwaukee Eight®)』114を採用しており、そのパフォーマンスは申し分なし。そしてエンジン以上に、基本骨格である新型ソフテイルフレームがFXDR™️114を支える大きなポイントだと平田さんは言います。
「個人的にはハーレーでレースをやりたいと思っています。ブルースカイヘブンも富士スピードウェイで開催していますので、ぜひ本コースでFXDR™️114を走らせみたいですね」
「このソフテイルフレームはクラシカルなルックスも似合いますが、同時にこれまでダイナが担っていたスポーツ走行も可能なフレーム……そう、ものすごく実力の高いフレームなんです。FXDR™️114は、新ソフテイルフレームの魅力の一つである軽くてタフなフレーム性能の限界を引き出すような設計となっています」
どうしてもスタイリングに目がいってしまいますが、このモデルの真骨頂は「走り」だと断言。その旋回性能の高さには平田さん自身、試乗して感動をおぼえたそうで、ぜひともスーパースポーツバイクやネイキッドバイクでスポーツライドを楽しむライダーにも乗ってみてもらいたいとのこと。
「仲間が国産ロードスポーツに乗っているなかにFXDR™️114で登場したら、きっと周りの目が変わりますよ。コーナリング性能も高いので、そうしたバイクの走りにも腕次第では十分ついていけますから。さらにスタイリングも個性的かつ現代的で、見た目という点でも十分に楽しめます。ハーレーなのにスポーティーで、良い意味ですごく目立つ存在になりますよ」
エボリューション時代から長らくスタイリング重視のフレームとして認知されてきたソフテイルフレームですが、ブランニューを果たした新設計フレームの真の魅力は高い走行性能にあります。FXDR™️114は、その限界にチャレンジしたモデルでもあるのです。ともすれば異端とも見られるFXDR™️114こそが、ソフテイルファミリーの究極の姿なのかもしれません。
車両:FXDR™️ 114
Text:佐賀山 敏行
Photos:濱上 英翔