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2020.05.08

アメリカを代表する人気モータースポーツ「ダートトラック」。設立当初より挑戦し続けたハーレーダビッドソンとダートトラックの歴史に迫る

2020.05.08

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今ではクルーザーのイメージが強いハーレーダビッドソンですが、草創期から現在までモータースポーツにも携わり、技術を培ってきました。なかでも、アメリカを代表する人気モータースポーツ「ダートトラック」の中心はハーレーダビッドソンによるカテゴリーです。今回は、ダートトラックとハーレーとの歴史を繙いていきます。

モータースポーツ黎明期を牽引したハーレーのファクトリーチーム

19世紀末、蒸気機関や電気モーター、ガソリンエンジンなどが相次いで実用化されました。その実証のために20世紀初頭、欧米では公道を使っての都市間レースやヒルクライムレースが開催されるようになりました。
より航続距離が長くパーソナルな移動性に優れるガソリンエンジンの自動車やモーターサイクルが普及すると、レースは実証というよりも、競技そのものが人びとの興味を惹くようになります。こうして“モータースポーツ”は誕生しました。

ハーレーダビッドソンも、1908年の設立当初からモータースポーツにチャレンジしてきました。アメリカでは、競馬場などを転用し、楕円形のオーバルコースを使用したコースでのレースが人気で、海ではサンドレース、また傾斜を付けた木製のコースによるボードレースなどが開催されてきました。

ボードレース、シカゴ、オット・ウォーカーシカゴにあった木製のコース「ボードレース」にてオットー・ウォーカー選手。

しかし、危険性が懸念されたボードレースは1920年代には禁止され、変わって主流となったのは未舗装の楕円形コースを走る「ダートトラック」と呼ばれるレースです。

シンプルなコースレイアウトで、距離のレギュレーションを1マイル/ハーフマイル/クォーターマイルなどと統一させることで、異なるサーキット間でも平均スピードの記録を比較しやすいという利点が生まれました。

新聞や雑誌での報道しかなかった時代、数字で比較できることはメーカーにとって、性能を謳うための重要な要素だったのです。
またダートトラックは、観客席から見渡せる程度の大きさのコースを使って一斉スタートさせる方式なので、勝負の行方を把握しやすいというメリットもあり、人気が高まっていきました。

ダートトラック、ハーレーダビッドソン、歴史、ファクトリーチームハーレーダビッドソンのファクトリーチームで活躍したオットー・ウォーカー選手。

黎明のファクトリー活動の中でも活躍したのはオットー・ウォーカー選手です。
1915年4月には、ハーレーとして初めて参戦したメジャーな大会、FAM300マイルロードレースで優勝。
1921年2月2日には、カリフォルニア州で行われたボードトラックレースで平均時速100マイル(160km)超えを記録、モーターサイクルのレースで世界初の平均時速100マイル以上を記録したライダーとなりました。世界最速の平均時速を記録するマン島TTレースですら、1921年の記録は54マイル程度でしたから、これは大いなる快挙と言っていいでしょう。

“スモーキン・ジョー”と呼ばれたジョー・ペトラリ選手もまた1920年代半ばから30年代半ばにかけて、ハーレーのファクトリーライダーとして活躍した選手でした。

スモーキン・ジョー、ジョー・ペトラリ、ファクトリーライダー、ハーレーファクトリーライダーとして活躍したジョー・ペトラリ選手。

写真を見ると、ブーツにグローブ、ヘルメットにゴーグルといった装備ですが、よく見るとウェアはニットのセーターですし、ヘルメットは現代のように硬いものではなく革製の乗馬用のようなものでした。この装備で、今から100年ほど前に平均時速160kmものスピードで走っていたのですから、いかに凄まじいことかが想像できます。

バイカー、アウトフィット、歴史

メカニック、バイクレースジョー・ペトラリ選手とメカニックたち。

ハーレーのダートトラックレーサーとは

ダートトラックにはいくつかのクラスがあり、年代によっても変遷していますが、最高峰のクラスは長年、750ccの2気筒エンジンなどがレギュレーションによって規定されています。現在のハーレーワークスマシンは、水冷Vツインの『ストリート750 (XG750 Street® 750)』のエンジンをベースにチューニングしたダートトラック専用マシン『XG750R Rev X 』でシリーズを闘っています。

バイカー、レース、アメリカ TEAM H-D RACINGのファクトリーマシン(2017年)。

ファクトリーマシン、ストリートロッド、ハーレーダビッドソン、バイクファクトリーマシンに積まれているのは市販のストリート750、ストリートロッドのエンジンをベースにチューニングしたもの。

ダートトラックはフロントタイヤにカウンターを当て、リアタイヤをスライドさせながらコーナーを曲がる独特の走法で走るため、マシンの構成もダートトラック専用のものとなっています。タイヤは前後19インチのダートトラック専用のもので、フロントブレーキはありません。ハンドルはバーハンドルタイプですが、オフロードバイクよりも高く手前に引けている位置にするライダーが多いようです。

スタジアムのようなコースで走るので、マシンの前と左右、それにライダーの背中に大きなゼッケンナンバーが入るのもアメリカのダートトラックの特徴です。

バイク、アマチュア、レースアマチュアのダートトラックレースに参戦していたマシン。(Photo by 小林 ゆき)

AMAミュージアムに展示されていたかつてのファクトリーマシン。(Photo by 小林 ゆき)

ダートトラックで常勝を誇るハーレーのライダーたち

アメリカのダートトラックは第二次世界大戦後、AMAグランド・ナショナル・チャンピオンシップ、そして現在はAFTアメリカン・フラットトラック・シリーズとして全米各地で開催されています。長い歴史の中でハーレーダビッドソンは1947年から現在まで、実に54回ものシリーズチャンピオンを獲得しています。

アメリカンフラットトラックシリーズ、チャンピオン、ジミー・チャン、優勝戦後の復興期に活躍したチャンピオン、ジミー・チャン選手。

1950年代から60年代にかけてはイギリスのメーカーとの争いが熾烈で、ノートンやマチレス、トライアンフ、BSAなども参戦していました。そんな中、1947年から1949年まで3年連続チャンピオンを獲得したのがジミー・チャン選手です。

ジェイ・スプリングスティーン、スコット・パーカー、アメリカ人選手ジェイ・スプリングスティーン選手(左)、スコット・パーカー選手(右)

1970年代にはヤマハやホンダなど日本のメーカーも参戦、それまでの英米対決から日米対決へと様相が変わってきました。アメリカのモータースポーツの中でもダートトラックの人気は内外からも高く、ハーレーからも有名な選手を輩出しました。スコット・パーカー選手は9回ものシリーズチャンピオンを獲得し、ジェイ・スプリングスティーン選手は3回のチャンピオン獲得と30年間もの参戦で絶大なる人気を得ました。

のちにMoto GPで世界チャンピオンとなる故ニッキー・ヘイデン選手も、かつてはダートトラックとロードレースの両方に参戦していて、ダートトラックにはハーレーで参戦していたこともありました。

アメリカン・スポーツとしてのダートトラックの世界

アメリカン・スポーツ、モータースポーツ、インドアレース インドアやターマックの路面でのレースも行われている。

近年は同じアメリカのメーカー、インディアンとのチャンピオン争いが激しくなっているダートトラック。そういう意味でもアメリカン・スポーツと称すことができる、人気のモータースポーツ・カテゴリーです。

実際にアメリカのダートトラックレースを観に行ってみると、その人気の高さには驚かされます。小さなクォーターマイルのコースは各町にあるほどで、野球場のそれに似ています。明るい時間には子どもやアマチュアのレース、またメインレースの予選などが行われ、続々と観客が集まってきます。周辺が渋滞するため、ときには警察官が出動し道路を一方通行にして交通整理をするほどです。

クォーターマイルコース各町にあるほどの小さなクォーターマイルのコースを走り抜ける。(Photo by 小林 ゆき)

プロレース、アメリカ、バイクレースメインのプロのレースが始まるころには観客席は満席に。(Photo by 小林 ゆき)

夕刻に向かって観客席は満席になり、みなハンバーガーやコーラを片手に観戦します。近所からクルマでふらっとやってきたという雰囲気の家族連れやカップルが多いようで、みな軽装です。

レースは決勝まで勝ち上がり式の予選が繰り返され、最終レースまで目が離せません。
インターバルには販促グッズを客席に投げ込むイベントや、MCがウェーブを煽ったりするエンターテインメントなどもあり、野球などと同様、アメリカに根付いたスポーツになっていることを感じます。

今年のシリーズは現在中断されていますが、TEAM H-D RACINGのファクトリーライダー、ジャロッド・バンダーコイ選手、ブライアン・スミス選手、ダルトン・ゴーティエ選手の活躍を期待したいですね!

TEAM H-D RACING
https://www.harley-davidson.com/us/en/explore/events/racing/flat-track.html

Text:小林 ゆき
Photos:ハーレーダビッドソン・小林 ゆき

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