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カスタムの祭典「ヨコハマホットロッドカスタムショー2019」に新旧ローライダーSを手がけた、ブラッド・リチャーズとダイス・ナガオが登場。二人が語る人気モデルの誕生秘話!!

2019.12.27

12月1日(日)に開催された、毎年恒例となっているカスタムの祭典「YOKOHAMA HOTROD CUSTOM SHOW」(ヨコハマホットロッドカスタムショー、以下HCS)。その成り立ち自体がカスタムカルチャーを体現するハーレーダビッドソンは今回も出展し、その存在感を示しています。

たった1日で1万5000人以上の来場者があり、今年も大盛況だったHCS。モーターサイクル約650台、カー300台の展示のほか、330もの物販ブースやミュージックライブなどで足を運んだ人を楽しませてくれます。

ハーレーダビッドソンブースに展示されているのは、3台のローライダー。2020年モデルの『ローライダー(FXLR Low Rider®)』と『ローライダーS(FXLRS Low Rider® S)』そして、1977年に登場した初代『ローライダー(FXS Low Rider)」もあり、新旧揃い踏みの様子がまさにファン垂涎の場となりました。

1977年に登場した初代ローライダー

2020年モデルのローライダー

レジェンドモデルと最新機種が並ぶブースに、スタイル&デザイン部門責任者ブラッド・リチャーズ氏、2020年モデルのローライダーSをデザインした、ハーレー唯一の日本人リードデザイナー/スタイリストのダイス・ナガオ氏が現れ、興奮は最高潮に!

スタイル&デザイン部門責任者ブラッド・リチャーズさん(右)、そしてリードデザイナースタイリストのダイス・ナガオさん(左)。2016年に発売した「FXDLS ローライダー S」、そしていま発売中の「FXLRS ローライダー S」の生みの親と呼ぶべき存在です!(Photo by 青木 タカオ)

ライダーにはアグレッシブなライディングを味わって欲しい

これまでに筆者は、二人と一緒にライディングした経験があり、最初は2016年、アメリカ・LA郊外にて開催されたFXDLS ローライダー Sのメディア向け試乗会でした。その運動性能の高さに感激し、はしゃぐようにして先頭グループを走る自分の姿を見て、二人ともとても喜んでくれました。

FXDLS ローライダー Sプレスカンファレンスでのリチャーズさん。

FXDLS ローライダー Sのメディア向け試乗会にて。

「そうです、そうやってスポーティに、アグレッシブに走るハイパフォーマンスなハーレーダビッドソンがつくりたかった。だからライダーに、ワインディングをスピーディに駆け抜ける楽しさを存分に味わって欲しかったんです!」

そう話すブラッドさんとダイスさん。端っこまで使い切ったタイヤや路面との接地で削れてなくなったバンクセンサーを見て、三人でにこやかに話したことは忘れられない想い出です。

その後、南フランスでのロードスター報道向け試乗会や米国西海岸での新ソフテイルファミリーのプレスローンチなどでも、ブラッドさんは会う度に「新型はどうだい?」と声をかけてくれ、こちらの意見に耳を傾けてくれるのです。

今回も開口一番、2020年モデルとして登場したFXLRS ローライダー Sについて尋ねてくれました。前作のFXDLS ローライダー Sを上回るスポーツ性能が迸るマシンについて「特にコーナリング性能が素晴らしい」と評すると、二人とも「アグレッシブなライダーも満足のいくポテンシャルの高いバイクに仕上がりましたよ」と、満足げに頷いていました。

ブラックアウトした飾り気のない色で勝負したかった

ブラッドさんは言います。

「未来志向だけど、過去をないがしろにしていない。これはハーレーダビッドソンの傑作に共通して言えることだね」

「そして、いつもマシンのことばかりを考えているというダイスさんはブラック以外、考えられなかった」と、当初から黒をメインにしたデザインをイメージしていたことを教えてくれました。

「ブラックはごまかしの効かない飾り気のない色だから、それで勝負してやろうと思いました。もっと予算があったら、走るためのパーツに開発費を回したいっていうのが本音です。ブラックにもレンジがあって、パートごとに艶があったりなかったり微妙に変化を付けています。安っぽくなるか、立体感でハイクオリティを感じさせられるかは紙一重なんですよね」

ブラックアウトした車体の中で、存在感が際立つのはブロンズ仕上げのキャストホイール。これについてブラッドさんは。

「高級感があり、気に入っています。我々が好きな60年代後半から70年代初期のルマンのレーシングカーがこういう色遣いの素材でできたホイールを履いていました。なので、新型ローライダー Sにも採用しようと思ったのです」

さらにブラッドさんは続けます。

「パワフルなエンジンを積み、ライディングポジションも堂々としたものでなければなりません。ハーレーダビッドソンはパフォーマンスに主眼を置くべきだと思っています」

生まれながらの反逆者、それがローライダーS

会話はさらに、2016年発売のFXDLS ローライダー Sについても及びます。ダイスさんは教えてくれました。

「今だから言えますが、ダイナファミリーがラインナップから消える計画が進む中、ボクが会社の意向とは関係なく勝手にやりたくてスケッチを描いていたんです。そしたらブラッドが上司になって『これはいい』って正式なプロジェクトとして後押ししてくれたからFXDLS ローライダー Sを世に出すことができたんですよ」

同モデルは発売するや否や大ヒット、ダイナファミリーの有終の美を飾るビッグセールスとなったのは記憶に新しい。ローライダー Sにはハーレーダビッドソンブランド自体がそうであるように、カウンターカルチャーの匂いが強く漂っています。そこがまた魅力であり、これまでのレジェンドモデルたちと共通するところです。

そんな鮮烈なサクセスストーリーを共有するだけあって、ダイスさんとブラッドさんの信頼関係は強固です。リヤサスペンションをモノショックとするニューソフテイルフレームが新開発されるのを知ったときから、ダイスさんはまた新しいローライダー Sのスケッチを描きはじめていたと言います。そしてブラッドさんも「任せられるのは彼しかいない」と、ニューモデルを託したのでした。

ティーンエイジャーの頃からバイクに乗り、ロードレースもモトクロスもオートバイに関することならジャンルを問わず、一通り経験してきたハーレーダビッドソンの開発チームメンバーたち。ブラッドさんとダイスさんもやはりそうで、ローライダー Sが出来上がってまず最初に乗ったのは、サーキットだったそうです。

「新しいシャーシと『ミルウォーキーエイト114(Milwaukee Eight® 114)』エンジンの組み合わせに絶対的な自信があったので、走りのパフォーマンスをまず確かめたくて、本社から1時間半ほどの場所にある馴染みのサーキットへチーム全員で乗り込みました」

さらにダイスさんは言います。

「スポーティなハンドリングとレスポンスを実現するために、フォーク角を2度立てています。スタイル、サウンド、そしてフィーリング、ローライダー Sはすべて持っていて、僕にとってはこれこそがモーターサイクルです。これはユーザーたちが産み出し、拡げてくれた男らしいジャンルで、ハーレーダビッドソンにしか提供できません」

カスタムバイクが所狭しと置かれた会場で、メーカーのつくった新車も脚光を浴びています。ダイスさんは「たった1台に精魂を込めるカスタムビルダーのみなさんと我々も想いは同じです。だから、妥協なしに良い製品をつくろうと思っています」と、胸を張って言いました。

渾身の1台となった2020年式FXLRS ローライダー Sもまた、きっと40年後には、FXS ローライダーのように輝きを放っているに違いありません。

Text:モーターサイクル ジャーナリスト 青木 タカオ
Photos:濱上 英翔

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