Harley-Davidson

「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」より

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2020.07.10

バイクカルチャーを紐解く!ハーレーダビッドソンと時代背景を象徴したバイカーにまつわる映画史【後編】

2020.07.10

「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」より

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いわゆる「バイカー」のイメージは、1953年に公開された『乱暴者(あばれもの)』を皮切りに、数々のバイカー映画によって醸成されていきました。
1970年代まではチーム同士の抗争やロードムービーなどが主流でしたが、1990年代に入り、少し違うニュアンスで映画を彩っていきます。
そんなバイカーカルチャーは映画の中でどのような位置付けになっていったのか、年代を追いながら紹介していきます。

バイカーによるアクション映画『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』(1991)

タイトルからして直球のバイク映画と思わせるのが『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』(1991年)です。
バイクと煙草の映画と思わせるタイトルですが、たまたま主人公たちをバイカーの設定にしたアクション映画と捉えた方が正しいかもしれません。とは言え、「男のコならこういうのが好きでしょ?」といった仕掛けがたっぷり。射撃の練習とばかりに日本製バイクを撃つ場面も、アメ車vs日本車という構図をエンターテイメントとして表現していると考えらえます。
商品名がタイトルになっていますが、実はこれ、メインキャストの名前で、若きミッキー・ロークがハーレーダビッドソン(役名)を、ドン・ジョンソンがマルボロマン(役名)を演じています。

ストーリーはよくあるアクション映画のプロットで、立ち退きを迫られた仲間のバーの運営資金を得るために現金輸送車を襲撃してみたら中身が実はドラッグだった、というもの。
1950年代から70年代にかけてのバイカー映画の黎明期は、第二次世界大戦や朝鮮戦争、ベトナム戦争などの社会情勢を背景に生まれたアメリカのバイカー文化を下地として、チームの抗争を題材にバイオレンスな描写で若さや社会的逸脱などの象徴としてバイクを描いた映画が数多く製作されました。それに対して『ハーレーダビッドソン&マルボロマン』は、バイクの雰囲気を楽しむエンターテイメントに徹した映画になっています。

ハーレーダビッドソン&マルボロマン(原題:Harley Davidson and the Marlboro Man)』(1991年)

たびたびマルボロマンのブーツがアップで映されるのですが、最後のシーンのための重要な伏線になっています。そのためにも、やはりこの映画の設定はバイカー映画でなければならなかったことがわかります。

ハーレーダビッドソン、ソフテイルスプリンガー、1980年代後半映画に登場する1980年代後半のソフテイルスプリンガー。

SFアクション映画の大道具としてファットボーイが登場する『ターミネーター2』(1991)

アーノルドシュワルツネッガー

『ターミネーター2 4Kレストア版』 価格 Blu-ray¥4,800+税 発売元・販売元 株式会社KADOKAWA

言わずと知れた名作『ターミネーター2』(1991)でもハーレーは重要な役割を果たしています。
映画の冒頭。一糸まとわぬ姿のターミネーター (アーノルド・シュワルツェネッガー) がバーに現れ、お約束のように常連客にジロジロ見られるシーンは、数ある西部劇や60年代のバイカー映画で描かれたような典型的なオープニングのプロットです。
未来から送り込まれたサイボーグという超ハイテクと、アナログでローテクなモノと様式として描かれるバイカーカルチャーやバイクの対比が、映画の笑いどころとして始まります。

しかし本作は、単なるつかみとしてバイクやバイカーが登場するだけではありません。「審判の日」の秘密を知る少年ジョンが警察やターミネーターT-1000から逃げるシーンでは、ジョンの乗るホンダXR100とターミネーターが乗るFLSTF ファットボーイがトラックとカーチェイスを繰り広げ、見どころの一つとなっています。

『ターミネーター2』におけるバイクの存在は、それまでのバイカー映画で描かれたようなバイオレンスや社会的逸脱の象徴や、つかみとしての小道具から、SFアクション映画における重要な大道具へと昇華させています。

ハーレーダビッドソンファットボーイ

『ターミネーター2(原題:Terminator 2:Judgment Day)』(1991年)

ハーレーをフィーチャーしたコミカル・ロードムービー『団塊ボーイズ』(2007)

それまでのバイカー映画とはまったく違うアプローチでハートフルな作品になっているのが『団塊ボーイズ』です。
邦題からは何の映画かまったく想像付きませんが、原題は『WILD HOGS』であり、「HOGS」はH.O.G.(Harley Owners Group®)を連想させるもの。人生に煮え切らない中年男性たちがハーレーで旅に出るというロードムービーです。

『団塊ボーイズ(原題:WILD HOGS)』(2007年)

それまでのバイカー映画では、社会からドロップアウトしているようなライダーが長髪・髭・タトゥーといった出で立ちでホワイトカラーの仕事には就かず、チームで行動するというのがお決まり。ときにはチームの抗争が起こり、それが映画の題材になっていました。
それに対して本作では、大学の同級生でホワイトカラーが中心、バイカーのチームではなくH.O.G.に入会している(と思われる)市井の人びとが主人公で、そこにバイオレンスはありません。

主演がジョン・トラボルタというのもまた、団塊世代の琴線に触れるキャスティングです。高度経済成長の時代はディスコでナイトフィーバーしていたかもしれませんが、彼らの世代が本当は若いうちに経験してみたかったオートバイや旅を軸に、「バイクあるある」エピソードもふんだんに取り上げ、コミカルに描いた映画です。

ワイルドグライド、1980年代モデル映画内で使われた車種と同モデルのワイルドグライド。(写真は1980年代のモデル)

タランティーノによるバイカー映画へのオマージュ『ヘルライド』(2008)

クエンティン・タランティーノが製作総指揮、というだけでワクワクしますが、その実、西部劇や1960年代バイカー映画のオマージュとなっているのが『ヘルライド』です。
ストーリーはよくある西部劇やバイカー映画同様、チームの抗争を描いたもので、容赦なくバイカー、セックス、ドラッグ、バイオレンスを盛り込んでいくあたりはタランティーノならではの演出。

『ヘルライド (原題:Hell Ride)』(2008年)

ヴィンテージなチョッパーから新しめのモデルまでこれでもかというくらい数々のハーレーが登場し、走行シーンもたっぷりあります。
西部劇から60年代、70年代のバイカー映画、そして『キル・ビル』などから多くを援用している挿入曲群もまた気分も盛り上げてくれることうけあい。
あらためてバイカー映画を”カルチャー”として楽しむための映画ではないでしょうか。

ソフテイルカスタム、2014年モデル映画内で使われた車種、ソフテイルカスタム。(写真は2014年モデル)

SFヒーロー映画にもマッチするストリート750『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)

キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 © 2020 Marvel ディズニープラスで配信中

バイカー映画がバイクをワイルドなものの象徴として扱うのに対して、ヒーロー映画では機動性の高いカッコイイものとして描かれます。この『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)も例外ではなく、戦闘機に一人で立ち向かうキャプテン・アメリカが駆るのは、ハーレーのストリート 750でした。
アクション映画で欠かせないのが、主人公がどの乗り物で移動するか?という要素です。『007』や『ミッションインポッシブル』などでも、追う・追われる場面でバイクでの移動やカーチェイスのシーンが出てきますが、それがクルマだったりボートだったり飛行機であっても成立します。

ストリート750『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 © 2020 Marvel ディズニープラスで配信中

それに対してキャプテン・アメリカの場合、トレードマークでもあるヴィブラニウムの盾で闘うのが前提なので、身体が剥き出しになるオートバイに乗る必要があるわけです。
劇中に登場するストリート 750は、ほぼカスタムされていない市販モデルと同じもの。ですが、シンプルにブラックアウトされたストリート 750のデザインは、キャプテン・アメリカのユニフォームである戦闘服に合わせたようなデザインに見え、SFアクション映画にも違和感なくマッチしています。

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 © 2020 Marvel ディズニープラスで配信中

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 © 2020 Marvel ディズニープラスで配信中

スティーブ・ロジャース、クリス・エヴァンス『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 © 2020 Marvel ディズニープラスで配信中

ストリート750、ハーレーダビッドソン

メル・ギブソンが駆るヘリテイジクラシックが最大の伏線『ブラッド・ファーザー』(2016)

ブラッド・ファーザー、メル・ギブソン

『ブラッド・ファーザー』 DVD&Blu-ray好評発売中 価格DVD 1,200円(税抜)、BD 1,800円(税抜) 販売元 ハピネット (C)Blood Father LLC,2015

こちらは『マッド・マックス』出身のメル・ギブソン演じるバイク映画で、マッド・マックス風味がたっぷり。
ストーリーは元犯罪者でアルコール依存症のリハビリをしながらトレーラーハウスに隠居する父ジョン(メル・ギブソン)の元に、長年交流が無かった娘がマフィアとのトラブルから逃れて現れ、ジョンは娘のために闘うというもの。バイカーでもあるジョンは、何かと1998年式のヘリテイジクラシックに乗って根回しをしに行ったり、マフィアと闘ったりします。

『ブラッド・ファーザー』 DVD&Blu-ray好評発売中 価格DVD 1,200円(税抜)、BD 1,800円(税抜) 販売元 ハピネット (C)Blood Father LLC,2015

ハーレー乗り目線での見どころは、なんと言っても娘とのタンデムライディングでしょう。もちろんアクション映画ですから、ゆったりロードムービーのようにツーリングするわけにはいきません。スポーツスターに乗ったマフィアに追われてしまい、バイクに乗りながらの銃撃が始まります。

『ブラッド・ファーザー』 DVD&Blu-ray好評発売中 価格DVD 1,200円(税抜)、BD 1,800円(税抜) 販売元 ハピネット (C)Blood Father LLC,2015

よくあるストーリーゆえ、父ジョンはいつもバイクで出かける必要はないのでは?と思うかもしれません。しかし、この映画の最大の伏線はジョンがバイカーであること。それを念頭におくと、ぐっと楽しめる映画です。

ヘルテイジクラシック、2014年モデルジョンが乗っているハーレー、ヘルテイジクラシック 。(写真は2014年モデル)

ハーレーが登場する映画【後編】、いかがでしたか?1950年代から1970年のバイク映画では、チーム抗争やロードムービーが多かったのに対し90年代〜現代の映画では団塊世代の憧れとして描かれていたり、マーベル・ヒーローが世界を守るためハーレーに乗っていたりと様々です。ただどんな映画に出てきていても、やはりハーレーダビッドソンの存在感は主役を引き立てる役として唯一無二ではないでしょうか。既に見たことのある映画でもまだ見たことのない作品でもこれをきっかけに改めて鑑賞してみては?

Text:小林 ゆき
Photos : ハーレーダビッドソン
株式会社KADOKAWA
株式会社ハピネット
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バイクカルチャーを映像で紐解く!ハーレーダビッドソンと時代背景を象徴したバイカーにまつわる映画史【前編】

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