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2020.06.12

バイクカルチャーを映像で紐解く!ハーレーダビッドソンと時代背景を象徴したバイカーにまつわる映画史【前編】

2020.06.12

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Vツインのエキゾーストノート。革ジャン。疾走。大陸横断。自由……。
今でこそ、ハーレーダビッドソンを中心としたバイカー文化は世界中の人びとに認知されていますが、そもそもどのように拡がったのでしょうか。
ハーレーやバイカーを描いた映画の歴史から、バイカー文化を紐解いていきます。

ロッカーズ文化にも影響を与えた「乱暴者(あばれもの)」

バイカー映画のさきがけとなった「乱暴者(あばれもの)」バイカー映画のさきがけとなった「乱暴者(あばれもの)」。
「乱暴者(あばれもの)」 好評レンタル中 発売・販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
©1953 THE STANLEY KRAMER COMPANY, INC. ALL RIGHTS RESERVED.RENEWED ©1981 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

世界で最初にバイカーを題材にした映画は、1953年に公開されたアメリカ映画「乱暴者(あばれもの)(原題:The Wild One)」だと言われています。
1947年に実際にあったバイカーのミーティングを元にした小説が原作で、違法なストリートレース、バイカーチーム同士の抗争、恋物語……など、のちに量産されるバイカー映画のプロットのフォーマットがここにあります。

主役のマーロン・ブランドが乗っているのはハーレーダビッドソンではなくトライアンフ。他に登場するバイクも、ハーレーだけでなくBSAやノートンなどイギリス車が使われており、本作品では第二次世界大戦後当時のアメリカにおけるバイクシーンを窺い知ることができます。

主役のマーロン・ブランドが乗っているのはハーレーダビッドソンではなくトライアンフ。他に登場するバイクも、ハーレーだけでなくBSAやノートンなどイギリス車が使われていた第二次世界大戦後当時のアメリカではイギリス車も多く乗られていた。
「乱暴者(あばれもの)」
©1953 THE STANLEY KRAMER COMPANY, INC. ALL RIGHTS RESERVED.RENEWED ©1981 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

マーロン・ブランドらが着ているダブルの革ジャン、デニムのジーンズなどは現代に続くバイカーファッションの基本となりました。ただし、長髪やあごひげ、タトゥーの描写はまだありません。また、スカルとピストンを添えて描かれた背中のチーム名も、今では当たり前になった刺繍によるパッチではなく、ペイントで描かれています。かぶっている帽子もちょっとおしゃれなキャスケットです。いま思えば控え目にも感じる、当時のアメリカのバイカーファッションでした。

「乱暴者(あばれもの)」
©1953 THE STANLEY KRAMER COMPANY, INC. ALL RIGHTS RESERVED.RENEWED ©1981 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

「乱暴者(あばれもの)」は、イギリスでは反社会的であるとして1968年まで公開されませんでした。当時のイギリスには民放ラジオ局がなく、また反体制的であるとしてロックを含むポピュラー音楽の放送も制限されていましたが、バイカー文化はハーレーの『Model K』に乗っていたエルビス・プレスリーらのロカビリーなどと共にサブカルチャーとしてイギリスに輸出され、「59 Club(フィフティナイン・クラブ)」に代表される「ロッカーズ」文化へと発展していきました。

バイカー文化はプレスリーらの音楽とともにイギリスでロッカーズ文化にも伝播したバイカー文化はプレスリーらの音楽とともにイギリスでロッカーズ文化にも伝播した。
「乱暴者(あばれもの)」
©1953 THE STANLEY KRAMER COMPANY, INC. ALL RIGHTS RESERVED.RENEWED ©1981 COLUMBIA PICTURES INDUSTRIES, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

映画「乱暴者(あばれもの)」に登場する車両のベースとなったと言われるModel K。映画に登場する車両のベースとなったと言われるModel K。

本質は“Freedom”を語りたかった1960年代のバイカー映画

「ワイルド・エンジェル(原題:The Wild Angels)」(1966年)

バイクのフリーダムなイメージを社会的逸脱やバイオレンスとセットで語る映画はその後も続きます。例えば、「ワイルド・エンジェル(原題:The Wild Angels)」(1966年)、「爆走!ヘルズ・エンジェルス(原題:Hells Angels)」(1967年)などです。

それぞれ細かいストーリーは異なりますが、「乱暴者(あばれもの)」と同じく、バイクやケンカなどがテーマになっています。これらは、ベトナム戦争などを背景とした当時のアメリカの社会情勢の中で、若い男性を中心にガス抜きのような役割を果たしていたのではないかと考えられます。

このころはチョッパーにカスタムされたマシンが多く登場する。写真は1949年FL panheadこのころはチョッパーにカスタムされたマシンが多く登場する。写真は1949年FL panhead。

「ワイルド・エンジェル」の中で、主人公を演じるピーター・フォンダがクライマックスで語る

「We wanna be free!」

の言葉は、「乱暴者(あばれもの)」のマーロン・ブランドのセリフ

「Whaddya got? (What have you got?)」

にインスパイアされたスピンオフと言われています。

時代の閉塞感に抗いたい感情こそが、バイカー映画の本質だったのではないでしょうか。

バイカー・アンセムを生んだ最高傑作「イージー・ライダー」

バイカー映画として最も有名な「イージー・ライダー(原題:Easy Rider)」(1968年) ロードムービーとして楽しめる「イージー・ライダー」。DVDやオンデマンドで観ることができる。「イージー★ライダー」発売中
Blu-ray 2,381円(税別)/DVD 1,410円(税別)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
© 1969, renewed 1997 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

こうして量産されたバイカー映画ですが、単にバイオレンスなだけでなく旅をしながら物語が進む、いわゆるロードムービーとしてヒットしたのが、バイカー映画として最も有名な「イージー・ライダー(原題:Easy Rider)」(1968年)です。

ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー、ジャック・ニコルソンという俳優陣もさることながら、「ザ・バンド」「ザ・バーズ」「ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス」「ロジャー・マッギン」「ステッペンウルフ」らによるサウンドトラック群もまた豪華で、のちの音楽文化に多大な影響を与えました。

バイカーに多大な影響を与えたこれぞハーレー映画イージー・ライダー© 1969, renewed 1997 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

とくにステッペンウルフによる主題曲「ワイルドでいこう!(原題: Born to Be Wild)」はビルボードチャートでアメリカ2位、カナダ1位になるなど世界中で大ヒットしました。そして、この曲が流れるとハーレーがイメージできるような、バイカー文化を代表するアンセムとなったのです。

女性の自立をハーレーで象徴したフランス映画「あの胸にもういちど」

アラン・ドロン扮する大学教授に恋をした主人公レベッカの物語。結婚祝いにもらったハーレーに乗って、夫がある身でありながら国境を超えて彼に会いに行く「あの胸にもういちど デジタル・リマスター版」発売中 Blu-ray&DVDセット 4,320円(税込)販売元:ディスクロード

今回、紹介する中で唯一バイカー文化が題材ではなく、さらには女性が主人公の映画が「あの胸にもういちど (原題:The Girl on a Motorcycle)」(1968年)です。

アラン・ドロン扮する大学教授に恋をした主人公レベッカ(マリアンヌ・フェイスフル)。彼の手ほどきでバイクに乗るようになり、結婚祝いにもらったハーレーに乗って、夫がある身でありながら国境を超えて彼に会いに行くというストーリーです。

愛らしくもセクシーなレベッカはハーレーとともに自らの意志で不倫相手の元へと向かう。販売元:ディスクロード

全裸に黒いタイトなレザースーツを身にまとってからハーレーを駆るシーンは、ベッドシーン以上にエロティックなものでしたが、ここにも時代の背景がありました。

時は折しも女性解放運動の真っただ中。1960年代のアメリカではウーマンリブ運動が、またフランスでは1968年の五月革命を契機として女性解放運動が起こりました。それまでのアメリカで量産されたバイカー映画で描かれる女性たちは、タンデムシートに乗る添え物として、あるいは性暴力の描写でクローズアップされるだけのエキストラのような存在でした。それに対してこの映画の主人公レベッカは、自ら積極的にオートバイを運転し、奥手な夫と暮らす家を抜け出して不倫相手の元へと向かう……。

女性の自立性をオートバイで暗喩した映画と言えるのではないでしょうか。
 
フランス映画ゆえ結末は推して知るべしですが、彼に会える喜びでレベッカがうきうきしながらバイクを運転するシーンを見ていると切なさが増してしまうのです。

「あの胸にもういちど (原題:The Girl on a Motorcycle)」(1968年)

映画「あの胸にもういちど」に使われたのが1967年式のエレクトラグライド。(写真は1966年のエレクトラグライド)映画に使われたのが1967年式のエレクトラグライド。(写真は1966年のエレクトラグライド)

現代に続くエレクトラグライドの系譜。写真は2019年のエレクトラグライド現代に続くエレクトラグライドの系譜。写真は2019年のエレクトラグライド。

バイク文化を紹介するドキュメンタリー「栄光のライダー」

それまでバイオレンスや社会的逸脱とセットになって語られたバイクのフリーダムのイメージから、一転してバイク文化そのものを楽しむ人たちに焦点を当てた画期的なドキュメンタリーが「栄光のライダー(原題:On Any Sunday)」(1971年)です。

スティーブ・マックィーンも出演したことで知られるこの映画は、毎週末にモトクロスやロードレース、ダートトラック、ツーリングなどを楽しむ人びとを紹介しています。

「栄光のライダー(原題:On Any Sunday)」(1971年)

1977年のXR750。

1970年ごろのXR-TT 750。

ハーレーの白バイ映画はタイトルがまさに車種名の「グライド・イン・ブルー」

アウトローとしてのバイカーを描いた1960年代のバイカー映画とは逆に、ハーレーの白バイ警察官を題材にした映画が「グライド・イン・ブルー(原題:Electra Glide In Blue)」(1973年)です。

タイトルはずばり、当時の最新モデル、エレクトラグライド。バイクやバイカーの印象を変えようとしてタイアップで作られた映画だったのかもしれません。
シカゴのプロデューサーとしても知られるジェイムズ・ウィリアム・ガルシオによるサウンドトラックも必聴です。

「グライド・イン・ブルー(原題:Electra Glide In Blue)」(1973年)

ハーレーの白バイ映画はタイトルがまさに車種名の「グライド・イン・ブルー」1975年のエレクトラグライド1975年のエレクトラグライド。

このように、バイカーを取り上げた映画の歴史をなぞっていくと、第二次世界大戦やベトナム戦争、あるいは女性解放運動など激動の時代背景がバイカー文化の勃興に大きく関係したことがわかります。ただ、それらはモーターサイクルギャングのような負の側面だけではなく、ファッションや音楽とも密接に関連して世界中に拡がりました。

1960年代のバイカー映画における暴力的な描写は目を背けたくなるものもありますが、時代的な背景と社会風俗としてあらためて鑑賞してみると、半世紀以上も色あせることなく根付いたバイカー文化の礎を感じることができるでしょう。

Text:小林 ゆき
Photos:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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