HARLEY-DAVIDSON
HARLEY-DAVIDSON® × GraphersRockのコラボデザイン・プロジェクト「SEEK for FREEDOM」始動!(GraphersRockインタビュー・前編)

ハーレーダビッドソンというブランドにおいて、高い人気を誇るスポーツスターファミリーの一員『アイアン1200(XL1200NS Iron 1200™)』。自由への開放を謳い、あらゆるものが変化を遂げた1970年代アメリカの時代背景にインスパイアされたアイアン1200は、ダークカスタムというコンセプトに基づいた真っ黒なボディをベースに、ビビッドなレインボーが際立つモダンストリートバイクとして仕上げられている。そして2019年、ハーレーダビッドソン史上、類を見ないアイアン1200が誕生する──そのコラボデザイン・プロジェクトが、「SEEK for FREEDOM」だ。

このプロジェクトでハーレーダビッドソンとコラボし、アイアン1200に新たな命を吹き込むのは、グラフィックデザイナーの「GraphersRock(グラファーズロック)」こと岩屋 民穂。tofubeatsやあっこゴリラのアートワークを始め、インディーズからメジャーレーベルまでさまざまなCDジャケットを手掛けるほか、アパレルブランドへのグラフィック提供や、PUMAといったメジャー企業とのコラボレーションアイテムのデザインなど、幅広い分野でアートワークを展開している人物だ。

このプロジェクトの全貌を探るため、GraphersRockのインタビューを前後編に分けてお届け。まず前編は、これまでの経歴からプロダクトデザインへの考え方、そしてハーレーに対する印象や今回のプロジェクトへの想いまでを伺った。

根本にあるMacオタクの想いと、商業デザイナーという自負

── 一貫してグラフィックデザインの仕事を続けられているGraphersRockさんですが、若い頃からその道を志していたのでしょうか。

10代の頃はパソコンオタクで、なかでもMacが大好きでした。そこから「四六時中Macを触っていられる仕事がしたい」と思うようになり、僕が18歳の頃に高性能化したMacが誕生。全てMacでデザインが完結できる環境が整ったことから、デザイナーという仕事が明確になりました。

── Macが無かったらデザイナーになっていなかったかも?

そうですね、今だったらプログラマーやVR開発をやっていたかもしれません。たまたま僕が10代のときのITトレンドがグラフィックデザインだった、という感じです。

── 「四六時中、Macを触っていたい」というのは、GraphersRockさんがグラフィックデザイナーを続けるにあたって、一番強い動機なのでしょうね。

デザインという表現や手法を愛していますし、デザイナーという職業に強い美意識や哲学を持っています。ただ、その根本にあるのは、MacオタクとしてMacをいじった結果をデザインというカタチでアウトプットし続けたい──という想いですね。そういう部分も自分のデザインにはにじみ出ていると思います。

── アーティストやメジャー企業との数々のコラボレーション作品から、GraphersRockさんは「アーティスト」という印象が強いですが、ご自身では「商業デザイナー」とおっしゃっていますね。

作業デスクと趣味で愛用しているカメラ

グラフィックデザイナーとしての世界観はもちろん持ち合わせています。その上で僕の表現方法に共感してくれるクライアントの要望を受け止めつつ、自分がやりたいことを重ねていって、みんなの想像を超える表現をすることが仕事だと思っています。

── こちらのアトリエを拝見しても、その世界観の一端がうかがえます。

海外に行くと、スーパーやホームセンターを歩いて見て回って、デザインのキーになるものを集めるんです。電車だと、そうしたお店と出会える機会が減っちゃう。1日に10kmや20kmは平気で歩きますね。

自らの足で見つけた何でもないものって、作為のないデザインというか、ある意味“デザインしていない”。そういう目に留まったものの数々が、今の自分のデザインに生かされています。僕にとっては、「落ちている石がきれいだったから拾った」という感覚に近い。

アトリエの棚にぎっしりと並ぶ書籍やCD、フィギュアの数々

── そうやってGraphersRockさんのデザインのストックは、どんどん溜まっていくんですね。

音楽だったらCDジャケットやアーティストのグッズ、アニメであればグッズのパッケージングなどは心を惹かれるものがあります。ファッション関係だと、ブランドのシャツなどテキスタイルに興味を持っちゃいますね。

ハーレーのマナーや文脈に縛られることなく自由にデザイン

── 今回のコラボの話を聞いたとき、率直にどのような印象を抱きましたか?

僕自身、クルマやバイクの免許を持っていませんし、バイクカルチャーには縁が無かったので、最初にお話を聞いたときは「意外なところからオファーを頂いたな」という印象でした。でも同時に、バイクって機械的なものだし、自分の作風ともハマるところがあるのかなと。

以前、PUMAとのコラボレーションで何度かスニーカーをデザインしたことがありまして、そのときに意識したのは「スニーカーは人間の最小単位の乗り物」ということだったんです。そういう意味では、スニーカーもバイクも乗り物という点では共通しているし、その部分を拡大解釈してアイアン1200をデザインしました。

── バイクの魅力はどこにあると思いますか?

ほかの乗り物と決定的に違うのは、エンジンに直接乗っている感覚があるということ。エンジンって力の象徴だし、力に直接アダプトするところがバイクの魅力ですよね。

── ハーレーダビッドソンに対してはどんなイメージを持っていましたか?

男臭い雰囲気があふれる映画「イージー・ライダー」のイメージでしたね。そう、アメリカンの象徴でした。

── 今回のコラボデザイン・プロジェクトは、どういった段階からスタートしたのでしょうか。

「SEEK for FREEDOM」っていうタイトルだけが決まっていて、デザインについて特に縛りはありませんでした。

そこでまず考えたのは、「なぜ僕がハーレーダビッドソンにアサインされたのだろう」ということでした。個人的にですが、ハーレーダビッドソンのファンやオーナーは昔っからのバイク好きが多い一方で、バイクとの接点を持てないでいる若い子たちと出会える機会が少ないのかな、と思ったんです。

そんな若い人たちとハーレーダビッドソンとを結ぶ“繋ぎ”の役割を担うのが、今回のミッションだと解釈しました。なので、あえてハーレーダビッドソンのマナーや文脈には縛られず、自由にデザインすることを意識したんです。

フリーランスという生き方や感覚が、僕の「SEEK for FREEDOM」

──バイクのデザインは初めてということで、特に難しさを感じた部分はありましたか?

スニーカーと違って、バイクは出来上がりを想像しづらかったですね。服や靴は布なので、型紙を元にした平面的な考え方が応用できますし、日常的になじみもあります。それに対してバイクは、DTP上の平面ベースでデザインしても構造が複雑なので、立体に起こしたときにゆがみが出たり、見え方が変わったりする要素が多くて。

今回のプロジェクトで手がけたアイアン1200のデザインを少しだけ見せてくれた

それも、実際にはペイント職人が手作業でデザインを写していくので、彼らが写せる範囲でのデザインを考えなければならない。極端に細かったり、複雑なデザインだったりすると再現が難しいので、今回塗装をしてくれるハーレーダビッドソン指定のペイントファクトリーであるGlanz(グランツ)と細かく打ち合わせをしながら、「どこまでやれるか」という線引きをしました。そういった点はこれまでの案件にはない難しさでしたが、同時に楽しくもありました。

── GraphersRockさんにとっても新たな挑戦になっているんですね。

これまでハーレーダビッドソンが展開してきたキャンペーンは、ミュージシャンという“人”とのコラボでした。今回は、ハーレーダビッドソンを象徴するマシンに新たな息吹を与えるという試みなので、ここを入り口に、多くの人に響くものを生み出すことができればと思っています。

── コラボバイクの完成が楽しみですね。

ええ、僕も今から楽しみです。

コラボバイクの完成予定は2019年4月頭。さらに今回のプロジェクトにおいて、GraphersRockはバイクに留まらず、ロゴやTシャツ、ステッカーのデザイン、さらにコラボバイク完成後に開催予定の“ハーレーダビッドソン×音楽×デザイン”をテーマにしたイベントで限定配布されるZINEなどもトータル・プロデュースする。後編のインタビューでは、完成したコラボバイクのデザインについて、ディテールの部分まで深掘りしていくので乞うご期待!

Text:ラスカル(NaNo.works)
Photos:Masato Yokoyama

BIKE LINEUP

カスタムカルチャー全盛期の’70年代アメリカが生んだ
伝統のチョッパーとカフェスタイルが融合したモデル

iron1200

Iron 1200™

ダークカスタムというコンセプトに基づいた真っ黒なボディをベースにビビッドなレインボーが際立つモダンストリートバイク、アイアン1200™。伝統のカスタムスタイル「チョッパー」に人気の「カフェレーサー」テイストが融合するという長い歴史のなかで独自のカルチャーを育んできたハーレーダビッドソンにしか生み出せない“温故知新”だ。

今はまさに「カスタム戦国時代」。世界が注目する日本のカスタムシーンからさまざまなハーレーダビッドソンが輩出され、今また新しいスタイルを求める人が増えている。その潮流から見ると、アイアン1200™はそんな新時代の自由を定義づけるのにふさわしい。

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