再始動したHARLEY-DAVIDSON®×GraphersRockのコラボプロジェクト<RE_SEEK for FREEDOM>。新たなデザインをまとったストリートロッドがついに完成!

<SEEK for FREEDOM>から<RE_SEEK for FREEDOM>へ。HARLEY-DAVIDSON®とGraphersRockのコラボレーションプロジェクトが1年ぶりに再始動。GraphersRock/岩屋 民穂氏がオリジナルデザインのハーレーを提案するプロジェクトの軸はそのままに、車両は2019年のIron 1200™からストリートロッド(XG750A Street Rod®)へ。
さらに今回は、プロジェクト名に追加された“RE”/Reply(リプライ)=返答を意味する「マスプロダクトへの落とし込み」を叶えるため、台数限定発売を実施するという画期的な仕掛けを用意。その内容も明らかになった。
名称は「STREET ROD® "FREEDOM" EDITION DESIGNED BY GraphersRock」。2020年4月14日(火)~5月19日(火)の期間中にオンラインで受け付け。完全限定生産となる台数は10台。価格は998,300円(税金・諸費用別)。新たなデザインをまとったストリートロッドと岩屋氏がスタジオで対面した場面に立ち会い、改めて<RE_SEEK for FREEDOM>に託した思いを語ってもらった。

データが実物に変わる瞬間は常に楽しい!

―― ついに実物が完成です。まずは率直な感想を聞かせてください。

もう、データそのまま! いや、実車となるとデータとはまた違った別物の感が強くなりますね。大きな感動を覚えます。

―― ご自身がデザインしたハーレーが実車化されるのは2019年に続いて2度目になりますが、それでも感動するものですか?

もちろんです。感動が変わることも慣れることもありません。僕の仕事は基本的にMacの画面上で行われます。データ上だけの存在だったものが物質的な実物になる瞬間はとても楽しいです。印刷物の場合は、刷る前に色目をチェックする色校というものが出されますが、それを見るだけでも毎回楽しみです。しかも今回のようにデザインデータが立体物になると感動も大きいですね。立体物の場合は、どれほどMac上でシミュレートを繰り返しても現物にならないと分からない未知数の部分が残ってしまいます。今回はストリートロッドのフュエルタンクのみのデザインで、僕も塗装されていない実物のタンクを手に取りながら制作しましたが、2Dのグラフィックが3Dのタンク上にどう乗るかは、やはり前回同様、実物を見るまでドキドキしながら待つしかありません。

―― 塗装全般も前回と同じくスペシャルペイントショップのGlanzが担当してくれました。作業現場に足を運んで打ち合わせなど行いましたか?

今回は一度だけ行かせていただきました。前回は何度も足を運ばせてもらいデザインを見ながらミーティングを繰り返しましたが、今回は前回のノウハウがお互いあった上での作業だったのでスムーズでした。とはいえ、前回よりもペイントに関しては複雑な箇所が多く、職人の方々には無茶をお願いした部分も多かったです。

―― データと実物で変わった部分はありますか?

強いて挙げればサイドの「FREEDOM」の字間でしょうか。元々のデザインデータ上では一文字ずつの間隔がかなり近かったのですが、三次曲面上ではそのまま再現しづらかったようで、そこはGlanzさんに調整をお任せしました。しかし実物を間近で観察してもらっても何の違和も感じないと思います。それほどにバランスのいい巧みな仕上かりですね。

―― タンク全域で特徴的な柄、2019年のヒョウ柄から2020年は毛細血管イメージへ変わりましたが、その再現も驚くほど見事です。

この部分はかなり細い線で構成されているので、デカールを制作してもらい表現しています。この大きさの柄を全てデカールで貼り付け、三次曲面上で元のデザインを再現するにはかなり大変だったと思います。その下のブルーとパープルはペイントですが、パープルを吹く前に模様として地のブルーを生かす部分をマスキングして、パープルを塗った跡に剥がすという、恐ろしいほどの手間がかかっています。にもかかわらずクリアーフィニッシュが見事なので、ペイントが何層構造なのかは見てもわかりません。

―― ご自分でデザインしたのに?

バイクはもちろん塗装技術に関してほぼ知らない状態で臨みましたからね。逆にあれこれ詳しかったら自らデザインに制約を設けてしまい、自由な発想はできなかったでしょう。

工芸品のようなオーラをまとったストリートロッド

―― 前回を引き継いだ「テクノロジー&ワイルディ」というコンセプト。今回はタンクのみデザインすることになりましたが、完成したRE_SEEKストリートロッドを目の当たりにして、コンセプトの踏襲はいかなる成果を収めたと感じていますか?

先のインタビューでもお話しましたが、「テクノロジー&ワイルディ」で表現したかったのはパワーの可視化です。それはこのプロジェクトにおけるデザインの柱なので、2回目と言えども変える必要はなかったこと。そしてタンクだけとなっても徹底的に全体のバランスを調整したこと。それらは見事に実車の完成度に反映されたと自負しています。バイクとの整合性を高めてくれたペイント職人の知恵と技に助けられたところももちろん大きいです。そうして完成したストリートロッドを眺めていたら、ちょっと矛盾した気持ちが沸き上がってきました。

―― 矛盾した気持ち?

僕の仕事の大半を占める印刷物は、デザインを終えた後はオートマティックで大量に刷り上がっていきますが、このプロジェクトが生み出したのは工芸品に近いなあと。僕は昔から現代アートには強い憧れがあって。ペイント作品の持つ一点物への執着というか、量産しないと成立しないグラフィックの特性に対する反動のようなものを抱いています。

―― 岩屋さんが言う矛盾は、今回のストリートロッドが少数であれ実際に販売されることとつながっていますよね?

ええ。マスプロダクトに落とし込めなかったのが前回の個人的に気がかりな部分でした。だから今回は販売するという企画を前回の返答にしたいというのも先のインタビューでお話した通りです。なのに、というのが矛盾の根っこにあるのですが、しかしこのストリートロッドは自分が手掛けたデザインと、Glanzさんによるデザインの再現力によって、物凄いオーラをまとった量産品になった印象が強いんですね。こんなプロジェクト、クレイジーという他にないでしょう。機会を与えてくれたハーレーの懐の深さと広さには感謝しかありません。

―― 確かに、1台に費やす時間と手間を考えたら量産品の域を超えていますね。それでも台数限定ですが、やがてこのストリートロッドは誰かの手に渡り、日差しの下で走り出します。

その姿、この目で見たいですね。どんなデザインにおいても、ユーザーの観点より自分がほしいものをつくる思いのほうが強いんですね。なぜなら、自分が欲しいと思えなければ他人が欲しがるものになるはずがないから。その意味合いにおいて、今回も予定調和を一切無視しています。「これが欲しい!」という方にぜひ購入していただきたいです。なぜか前回のアイアン1200™よりも、このストリートロッドには自ら乗りたい気持ちが高まっているんですよね。大型自動二輪免許も持っていないのにそんな感覚を抱いたことが、このプロジェクトの価値を物語っているような気がしています。

「工芸品のようなオーラをまとっている」と岩屋氏が評したストリートロッド。街に放たれるのはわずかに10台。誰がどのストリートを走らせるのか? 道の先でどんなシーンを見せるのか? そこも今回のプロジェクト<RE_SEEK for FREEDOM>の興味の的になるだろう

Text:田村 十七男
Photos:Masato Yokoyama
まるや ゆういち

COLLABORATOR

GraphersRock(グラファーズロック)

GraphersRock(グラファーズロック)

アートディレクター / グラフィックデザイナー 岩屋民穂によるデザインプロジェクト。パッケージ、広告、装丁、ファッションなど多岐にわたる分野で活動し、テクノ・レイヴカルチャーをベースにしたグラフィックが高い評価を集めているまた様々な企業・ブランドとのコラボレーションワークを展開し、グローバルリリースとなったPUMAとのコラボレーションライン「PUMA x GraphersRock」やハーレーダビッドソンとのコラボレーションワークによるコンセプトモデルバイク「SEEK for FREEDOM」を発表。これまでの作品を作品集「RASTERIZE」をDU BOOKSより刊行し、PARCO GALLERY XやWIRED Labなどでの個展の開催を行い高い評価を得ている。

BIKE LINEUP

Street Rod®

都会のストリートで味わう高揚感あふれるライディング。
レッドラインは9000rpm。
コーナーを切るリーンアングルは最大40度。
車の間を縫うように走れ。