Touch The Freedom
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ボバーカスタムの世界観とその魅力。ハーレーダビッドソンのカスタムワールドに迫る

2018.03.14

ミニマリストのためのソロサドルシート

850、890、820rpm……。目まぐるしく数字の変わるアイドリング回転数を、ハンドルライザーに埋め込まれた小型ディスプレイで無意識なうちに目で追っている。

ストリップダウンされたシートにクッションなどないから、身体は排気量1745ccのビッグツインエンジンとつながっているかのような錯覚に陥り、それはまるで自身の心臓の鼓動のようにライダーに人車一体の感覚を与える。

かけがえのない愛車との一体感であり、馬で移動するのを止めてしまった現代人にとってはもうオートバイでしか味わえないのかもしれない。特に大排気量V型2気筒に拘るハーレーダビッドソンのそれは、鮮烈の一言だ。

ミニマリストのための究極のソロサドルにあるのは、2本のスプリングだけ。屈強に使い込まれた風合いを再現したディストレスレザーが、メタルのシートパンに直接接着され、処理加工などせずブラスリベットでレザー端を留めた。「Milwaukee Since 1903」のトリムは、きっと手にする人の誇りとなるだろう。

そして信号が青になれば、シフトペダルを踏み込んでローギヤに落とし、またストリートへと飛び出していく。
たとえ手足の感覚がなくなっても、タフなライダーは無意識なまま操作を続けられる。たとえば高速道路を長時間走り続けたとき、パーキングエリアにオートバイを停めて初めて自分の身体が機械の一部のごとく働いていたことに気付く。歩くこともままならない。経験豊富なコアなライダーなら、きっと心当たりがある現象だろう。

カスタムされた、自分だけの1台とともに旅へ出よう

車体を離れたところから確かめれば、ハーレーダビッドソンのカスタムだとわかる圧倒的な存在感を放ち、ストリートボブがそこにある。アイデンティティともなっているミニエイプハンドルバーが備わり、そしてテールエンドに追加したシーシーバーがロー&ロングの車体の中で異様なほどに高く迫り上がって、前と後ろとでアクセントとなっているのが改めてわかる。

窮屈な都会のビル群を眺めながら感じるのは、1950〜60年代の若者たちがそうだったように、このシーシーバーに荷物をくくりつけて、自分だけのマシンと共にまだ見ぬ果てしない旅に出てみたいという願いにも似た気持ち。

カウンターカルチャーから生まれたこのシルエットに、惹かれてしまうのはどうしてなのか……。答えは走り出さなければ見つからない。カスタムという、自分だけの1台とともに、勇気を出して出発してみよう。ハーレーダビッドソンが昔から言い続ける「フリーダム=自由」ってことの意味が、もしかしたら分かるかもしれない。

Text:モーターサイクルジャーナリスト 青木 タカオ
Photos:安井 宏充
Illustration:遠藤 イヅル

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