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ハーレーダビッドソンの新しいナナハン、伝統のスタイルと次世代のパワーを備えたストリートロッドの魅力に迫る

2017.06.16

ハーレーダビッドソンのニューモデル、ストリートロッドの国際試乗会がシンガポールで開催された。今回はその模様とストリートロッドの魅力を、モータージャーナリストの青木タカオさんに紹介してもらう。

ストリートロッド国際試乗会inシンガポール

ハーレーダビッドソンのニューモデル『ストリートロッド(XG750A Street Rod®)』。そのメディア向け国際試乗会が、東南アジアきっての国際都市・シンガポールで開催された。
シンガポールには2011年より、ハーレーダビッドソンのアジア太平洋地域事業統括本部が置かれ、現地富裕層向けの正規販売店も2店舗を展開。ただしその内1店はハーレーの純正アパレルを取扱うのみで、大型二輪市場はまだ大きく伸長してはいない。
今回は日本をはじめ、オーストラリアやインド、中国、韓国、タイなど各国の報道関係者がこの試乗会に参加した。

実車を目の当たりにしてまず感じるのは、フォルムのアグレッシブさ。フロントが若干下がったクラウチングスタイルは、リアが跳ね上がって見るからにスポーティ。ヘッドライトにはスピードスクリーンがセットされ、躍動感に満ち溢れている。

原案となるデザインスケッチを描き、スタイルを手がけたハーレーダビッドソン デザインスタジオのチェタン・シェジャル氏によると、「ボディラインは歴史的なモデルから大きな影響を受けているが、それをそのまま用いるのではなく、現代的な解釈を加えることによりストリートロッドが生まれた」とのこと。

ストリートロッドをデザインしたチェタン・シェジャル氏

「アメリカンマッスルカーが採用するスーパーチャージャーのインテークがモチーフ」という新作のエアクリーナーボックスや、LEDライトを組み込んだ凝縮感のあるテールカウルなど、一見すると若年層が好みそうなスタイリングだが、伝統のVツインエンジンを踏襲し、スピードメーターのパネル内やシートカウルにバー&シールドのロゴをあしらうなど、新しさの中にハーレーダビッドソンらしいオーセンティックな装いも存在する。それは鉄の温もりを筆頭に、Vツインエンジンの迫力、そしてボディの隅々にまで及ぶ質感の高さも皆同様だ。

チェタン氏は「跨った瞬間にアグレッシブなイメージを感じる前傾スタイル」と強調するが、グリップを握ると、アクセルをワイドオープンにして走り出したい気持ちになるからまさにその言葉の通り。
ゆったりとした気持ちで、ロングライドを楽しもうという気にさせるツーリングファミリーらとは言うまでもなくキャラクターが違うもので、もっと熱く、スポーティな走りが楽しめる。ツーリングファミリーが長距離ランナーならば、こちらはスプリンターといった印象で、それがスタイルとライディングポジションから手に取るように解る、それがこのマシンのファーストインプレッションだ。

絶妙な前後17インチのホイールサイズ

テストライドをスタートすると、瞬く間にその軽快なハンドリングの虜になってしまった。思いのままに操れるといったフィーリングで、身のこなしがこの上なく軽やか。これは前後17インチというホイールサイズの貢献が大きく、そこに組み合わせたグリップに優れたラジアルタイヤ『ミシュラン・スコーチャー21(Michelin® Scorcher® 21)』が素晴らしいマッチングを見せている。

このホイールサイズは、現在のスポーツバイクとしてベストバランスと思われ、高い旋回力と直進安定性の両方を高い次元で兼ね備える足回りに仕上がっている。フロント120/70R17、リア160/60R17のサイズは、各タイヤメーカーとも高性能なモデルをこぞってリリースする定番サイズだから、交換時の選択肢が広がったこともユーザーにとっては嬉しい限りだろう。

スポーツ走行時の優れた資質とアーバンな印象を併せ持つマシン

東京23区ほどの面積しかない都市国家とあって、試乗はストップ&ゴーをひたすら繰り返すばかりだと勝手に想像していたが、3車線以上の高速道路はあるし、郊外には距離こそ短いものの森を駆け抜ける快適なワインディングロードもコースに加えられていたから、あらゆるシチュエーションでストリートロッドの走りを試すことができ、充実したテストライドとなった。
「アーバンスポーツ」と謳っている通り、一般道を流すのも得意分野で、スリムでライトウェイトの車体が非常に扱いやすく、トルクバンドが広いエンジンもイージーライドを乗り手に感じさせるので、都会派のライダーにはうってつけだ。全身をブラックアウトした車体はダークなイメージで、コンクリートジャングルや夜の市街地がよく似合う。

もちろん、休日にはハイウェイを使ったショートトリップを満喫できるだろう。シンガポールの高速道路は流れがスムーズで走りやすく、制限速度は90km/hと日本より少し低い。
水冷60度Vツインエンジンは余裕ある走りを感じさせ、まだまだいくらでもスピードを上げられそうだ。多用するミドルレンジでのトルクが太くなっていて中間加速が鋭いから、追い越しもズバッと力強く決まる。
ストリート750(XG750 Street® 750)』譲りのSOHC4バルブエンジンは排気量に変更はないものの、吸気ポートが拡大され、カムリフト量も増加。フューエルインジェクションもφ38mmのシングルスロットルからφ42mmのデュアルスロットルボディへと変更され、エアクリーナーボックスや2in1マフラーも一新。圧縮比を高め、パワーを18%、最大トルクも8%向上した。

ワインディングでは右に左へ車体を容易に深く寝かし込むことができ、ステップ裏のバンクセンサーが面白いように路面を擦っていく。倒立式フロントフォークとリザーバータンク別体式ツインショックを前後サスペンションに備え、コーナーを攻め込んでも車体はしっかりと安定したまま。サスペンションは低い速度域からしなやかに動くが、ストロークの奥では踏ん張りが効き、前後17インチのラジアルタイヤが実現するハンドリングと合わせ、次のコーナーを待ち遠しくさせる。

市街地(ストリート)、ハイウェイ、ワインディングと、日本のユーザーがストリートロッドで味わうであろうシチュエーションをこのテストコースで体感してみたが、どのステージでもスポーツ性能が際立った。
この高い運動性能は、シティクルーザーと言うよりもネイキッドスポーツに近い領域に達していて、ハーレーダビッドソンの製品開発に対する挑戦が新しい領域に達したことを感じずにはいられない。

伝統と次世代を担うストリートロッド

Vツインエンジンというハーレーダビッドソンの伝統を踏襲しつつ、水冷60度という次世代のパワーユニットを着実に進化させていることを思い知ったと言うほうがいいのかも知れない。
実際、AMAプロフラットトラック選手権に参戦するハーレーダビッドソンのファクトリーチームでも、水冷60度Vツインエンジンを積むファクトリーレーサー『XG750R』が投入されていて、レーシングシーンで培われたテクノロジーが実際の市販車にフィードバックされている。

そして今回、XG750シリーズのポテンシャルの高さを改めて感じるとともに、セールス面でも成功していることをモーターサイクル・プロダクトプラニング・ディレクターのピーター・ケプラー氏から聞き、納得した。

モーターサイクル・プロダクトプラニング・ディレクターのピーター・ケプラー氏

ピーター氏によると、ストリートロッドのベースとなったストリート750の世界累計販売台数は3万5000台以上を数え、アメリカでは2015年および16年のスモールクルーザー市場(601〜1200cc)においてナンバー1の販売台数を記録。また、オーストラリアとインドでも該当するクラスでのマーケットシェア1位となり、セールスは大変に好調だという。
これらカテゴリーには日本でベストセラーとなっている『フォーティーエイト(XL1200X Forty-Eight®)』や『アイアン883(XL883N Iron 883™)』も含めるから、海外でのストリート750の人気の高さが改めてよくわかった。

今回のストリートロッドは、ストリート750に続く世界戦略モデルの第2弾で、「アグレッシブなスタイルとスポーティな走りが広く支持されるはず」とピーター氏は自信を見せたが、それに疑問を持つジャーナリストは一人も見当たらなかった。

スポーティさに磨きをかけた、次の時代を切り拓くハーレーのナナハン。まずは正規ディーラーの店頭で、試乗していただきたい。

Text:モーターサイクル ジャーナリスト 青木タカオ

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