Share The Freedom
ARTICLE

イルミネーション&夜景とバイクをドラマティックに撮影するコツ。【ハーレー撮影講座-第2回 ソフテイル スリムS】

2016.12.14

クリスマスシーズンの風物詩となっているのが、街のあちらこちらで見られるイルミネーション。煌びやかな輝きは幻想的で、ハーレーダビッドソンとともにファインダーに収めればさぞかしドラマティックだろう。そこで今回は手持ちの一眼レフを使ってできる、夜景での愛車撮影に挑戦してみたい。被写体として『ソフテイル スリムS(FLSS Softail Slim S®)』を用意し、バイク専門誌でも活躍するフォトグラファーの柴田直行さんにワンポイント撮影術を教えていただいた。

7602a

POINT 1
ビル群のシルエットが美しいのは夕暮れ。そしてストロボも駆使しよう

7444b【1】12月上旬16:30〜17:00に撮影

「街が寝静まった深夜に撮影しましょう」と、柴田さんに提案すると「日暮れ前からスタンバイしましょう」と、やんわりお断りされた。理由をうかがうと「夜が更けると灯りがなくなってしまいますし、夕暮れ直後こそ美しいのです」とのことだ。
まず【1】の写真を見ていただきたい。都会のビル群が美しい夜景の1枚だが、空はまだ青みがかっていて、地上付近には橙色に染まる夕焼けも残る。柴田さんは言う。
「空に明るみが残るこの時間帯こそが、ビルなどの建物や山のシルエットがハッキリと浮き出て美しいのです」

7439b【2】カメラの上にストロボをつけて撮影した例

しかし、肝心なソフテイル スリムSが暗く写ってしまい物足りない。そこで必要となってくるのが、ストロボ。柴田さんは我々に撮影術を分かりやすく教えてくれるため、試しにまず車体の真横、カメラの上にストロボをつけて目一杯に光を当ててくれた。【2】の写真だが、たしかにバイク自体はハッキリ見えるようになったが、いかがだろうか。この光の当たり方では平面的になってしまうし、フロントフォークのボトムケースやリアフェンダーにあるリフレクターにも光が強く当たって反射してしまっている。

7453b【3】

最後に2台のストロボを駆使して、【3】が出来上がった。背景となる夜景は相変わらず美しいし、ソフテイルスリムSのロー&ロングの車体がなんと精悍なことか。搭載される空冷Vツインエンジンに刻まれるフィンは、表面にだけカッティング加工が施されているから1枚ずつのエッジが際立ち、鉄馬の心臓らしい生々しい金属の質感が手に取るように伝わってくる。
さらにブラックリムに編まれたクロススポーク、真っ直ぐに伸びた2本出しのブラックマフラー、ディテールを注意深く見ても、すべてのパーツが活き活きと見る者に存在を訴えかけてくるようだ。

まずここではストロボの使い方を紹介したが、夜景を撮るためには三脚をぜひとも使いたい。なぜならこのシーンでは、遠くの夜景と近くの車体の両方にピントを合わせるために、普通の夜景撮影よりもシャッタースピードを遅く設定する必要があるからだ。
しかしオートバイだけで撮影に行くとなれば、積載スペースは限られている。このため今回の撮影には、カメラ用デイパックに収納できる小型の三脚を使用した。
また、夜景撮影ではカメラのISO感度の設定を思いきってあげてみよう。数値が上がるほどに画質は落ちてしまうが、暗いままの残念写真になってしまうよりはベターだ。

POINT 2
街灯などの光を利用して、自然な色味の写真を撮ってみる

7507a【4】

7495a【5】

次に柴田さんは【4】のように街灯の光を車体が受ける場所に置いてファインダーをのぞいた。撮影した写真が【5】だ。車体はナトリウム灯のオレンジ色の光で照らされているが、背景のイルミネーションが後ろに程良くボヤけ、とても自然な色味で撮れた。柴田さんは言う。「ストロボを使わずとも、街にある光源を利用すれば被写体をそれなりに明るくして撮影することができます。また街灯のように真上から照らす光は雰囲気もいいのです」

7486a【6】

「ちょっと話が脱線しますね。ほら、こうやってイルミネーションとともに人が画面に入ってくると、自然と写真にドラマが生まれてくると思いませんか。ボクはこういうのが好きなんです。仲間と撮影に行ったときは、お互いに役者になりきって撮影すると楽しいですよ」
そう言って柴田さんが見せてくれたカットが【6】だ。今回は撮影スタッフに歩いてもらったが、知らない人を勝手に撮るのはマナー違反であり迷惑行為なので厳禁だ。

POINT 3
色を変えれば、写真の印象が大きく違ってくる

7515a【7】

そしてここでも柴田さんはフラッシュを使って、ソフテイル スリムSを細部に至るまでしっかり見せるよう写真に収めた。【7】である。
現代のモーターサイクルからすれば驚きだが、1957年までのハーレーダビッドソンにはリアサスペンションが装備されていなかった。このソフテイルファミリーは、そんな往年のフォルムを再現するためにリアショックユニットを車体の下に隠している。このリアビューは、ソフテイルならではの美しいフレームワークを見事に写し出している。

7515b【8】

「撮影者が意図したように撮れたら、もっと楽しいと思いませんか。今度は色温度(ホワイトバランス)を操ってみましょう」
柴田さんがそう言って撮影したのが【8】。クールな青い光の写真となり、ソフテイル スリムSの迫力がグッと増した。
「たとえば夕陽を撮ったとき、空の赤みがもっと出せたらいいのに……と、思うことがあると思います。そんなときに調整して欲しいのが、ホワイトバランスです。
今回はイルミネーションの電球の色を白く調整しました。同時にバイクにあたっている光の色も変わります」
見た人がいい写真だなぁと思う要素の中には、被写体や構図など様々なポイントがあるが、色もそのうちのひとつと言える。色を変えれば、写真の印象が大きく違ってくるのだ。

柴田さんが言うホワイトバランス。これは予めカメラに撮影時の光源の色調を設定してあげる機能であり、これをしないと白いものが青っぽくなったり黄色っぽくなったりしてしまう。白を正しく白として写せるように補正する機能ということになる。
「詳しい操作方法はここでは省きましょう。せっかくのデジタルカメラですから、とにかくたくさん撮っていろいろと試してみてください」
一眼レフでなくとも、コンパクトカメラでも設定機能があることが多く、太陽光、日陰、曇り、電球、蛍光灯などとモードを選べるようになっているから、柴田さんは夜景を撮るとき、いろいろと試し撮りしてみることをすすめる。基本は太陽光(晴天)モードで、曇りモードだと赤みがかり、電球モードだと青くなる傾向だと教えてくれた。

POINT 4
光を自在に操って、イメージした写真をつくろう

7464a【9】

7471a【10】

友人が一緒で、被写体の他にもオートバイやクルマがあるのなら、そのヘッドライトを当てるのも面白い。つまりストロボがなくても、光を当てられるものならなんでも利用すればいい。
柴田さんは懐中電灯だって立派な光源になるといい、【9】と【10】を撮った。この状況では背景に光るものがあって綺麗で面白かったが、車体の左側(カメラ側)にはさほど光が回らなかった。そこで用いたのが懐中電灯で、車体の後ろ側から暗くなった燃料タンクやエンジン、サドルシートなどに光を当てている。
車体の後ろだけに光を足した理由は、ヘッドライトのリングが街の灯りを受けてドラマティックに光るのを妨げないためだ。

7550a【11】レンズ:200mm 絞り f4・シャッタースピード:1/4 秒 ASA感度:800 ホワイトバランス:電球

背景となるイルミネーションの光は、車体に近づければボケ味がなくなってしまうし、遠ざけすぎると小さくなってしまう。柴田さんは程良い距離を吟味し、ソフテイル スリムSを置いた。【11】の写真だ。
「この場合、望遠レンズを使って絞りを開放にします。そしていちばん撮りたい場所をクローズアップしたのです」
我々人間の目は常に眼球が動いて、見たい場所にピントを合わせ続けているため、視野全体にピントが合っているような感覚でボケてみえることはない。つまり、背景や前景をボカして写すというのは、写真や動画特有の表現ということになる。
ボケ味はレンズの焦点距離や絞り値、撮影距離によって違ってくるので、柴田さんはこういった要素を巧みにコントロールした。

POINT 5
夜の撮影だからこそ、光は被写体そのものにもなる

7623a

7628a

7581a

他にもタンクコンソールに配置されるメーターも、イルミネーションの光を写し込ませるなどして撮影した。光は被写体のためのものだけでなく、被写体そのものにもなるのだ。
「いつも思うのですが、ハーレーダビッドソンのメーターは書体も手の込んだ色気のあるものが使われていて、まるで高級時計のようですよね。ライディング中も絶えずライダーの視野に入るものですから、こういった質感の高いディテールはオーナーのお気に入りのポイントとなるのでしょう」
柴田さんはファインダー越しにそう言った。往年のFLモデルを彷彿させるキャッツアイコンソールには、時計がときを刻むようにハザードランプが等間隔で点滅を続けている。

ファトグラファー:柴田直行さん
1963年生まれ、横浜市在住。写真専門学校在学中からバイク専門誌で写真を撮る仕事をスタート。1980年代から30年間に渡ってアメリカ国内のモトクロスやレースシーンを中心に撮影。現在は日本国内でカスタムからツーリングまでバイクライフ全般をカバー。日本レース写真家協会会員。

2329a

使用したカメラ
カメラ:Nikon D5
レンズ:AF-S NIKKOR 70-200mm f2.8G ED VR II
AF-S NIKKOR 17-35mm f2.8D IF-ED
三脚:Velbon sherpa G430

Text:モーターサイクル ジャーナリスト 青木タカオ

HARLEY-DAVIDSON JAPAN

FOLLOW US!!
PREV

POPULAR RANKING

01
02
03
04
05
06
07
08
09
NEXT

NEW ARRIVALS