Freedom Interview
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ハーレー以外にない、そう思う日がある。湘南で乗りこなすクロスボーンズ

2016.12.21

今を生きるために必要な道具を使いこなすように乗りたいという、大人のハーレーストーリー。湘南に訪れる鉄馬日和を愛する藤井タダシさんに、愛車クロスボーンズとの日々をたずねた。

それは憧れ続けたタフな男のアイテム

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山側へ少し入った稲村ケ崎の自宅から江ノ電の踏切を越えて坂を下ると、国道134号線にぶつかる。相模湾を巡るこの海沿いの道路を目の前にして、右に行くか左に行くか、その日の気分を自分にたずねるところから藤井タダシさんとハーレーのトリップは始まる。

生まれは逗子。東京でプロパーソナルトレーナーとして活躍し、再び海の近くで暮らそうと決意して、稲村ケ崎に『Rock★Steady★Gym』という名の自宅兼ジムを建てたのが今から7年前。それと前後して手に入れたのが、2008年モデルの『ソフテイル・クロスボーンズ(FLSTSB Softail Crossbones)』。

「16歳で二輪免許を取得して以来、いろんなオートバイに乗ってきました。もちろんハーレーはずっと気になる存在でした。でも、ガキには無理だと。大人にならなければ似合わないと思ってきたんですよね。なぜなら僕にとってハーレーは、タフな男のアイテムだったから」

藤井さんが言う“タフな大人の男”の自覚が芽生えたのが30代ぎりぎりだった。そのタイミングで現れたのが、件のクロスボーンズだった。
「まずはビンテージスタイルのスプリンガーフォークにヤラれました。それと、従来のハーレーとはちょっと趣が違うツヤ消しの塗装とさり気ないピンストライプが、僕の中のイメージとぴったり合ったんです」。

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そのイメージとはどんなものだったのだろうか?
「10代の終わりにLAへ行ったとき、街中でボロボロのハーレーを見たんです。ショックでしたね。ハーレーと言えばビッカビカに磨き上げるものだと思っていたから、逆にもの凄く新鮮だった。その強烈な印象がクロスボーンズに重なったんです。気に入っている個所がもう一つ。スプリングが備わったシート。これもビンテージテイストでカッコいい。まさに馬乗り用のサドルそのものです」

ハーレーとともに、藤井さんのライフスタイルに欠かせないのが乗馬だ。所属する三浦のクラブは砂浜などを走る外乗り専門だという。移動は片道40分。
「生きた馬に乗るため、あえて鉄馬で行く。そこには意義を感じているんです。でも、乗馬って足がパンパンになるんですよ。ハーレーで向かった帰り道は太ももがつりそうになるから、葉山あたりで休憩しないとダメなんです。人には疲れていると気付かれないように(笑)」

乗りたい日にハーレーがなければルーザーになる

ハーレーと乗馬の他に、クルマ、サーフィン、SUP(スタンドアップパドル)も楽しむ。それを多趣味と評するのは間違いではないが、強い興味と向上心を持ってトレーナー職に打ち込むのも楽しいと話す藤井さんにとっては、仕事も趣味なのかもしれない。いや、表現として正しくない。それら藤井さんを取り巻く趣味的要素は、自分がこう生きたいという願いを叶えるのに必要不可欠なものたちばかり、と言うべきだ。

「決してゴリゴリのハーレー乗りじゃないですね。他に小さいバイクも持っているし、クルマで移動することもある。定期的に馬に乗るし、波がよければ海に出る。だから、実のところハーレーに乗る機会はそれほど多くはないんです。大人になると、体力の衰えも含めて乗る機会が減ったからとオートバイを降りちゃう人が多いですよね。けれど年に数回、“今日はハーレー以外にない”という日があるんです。風や日差し、気温。それらすべてが混ざり合った空気感が五感を通して伝わってきたときのために、僕はハーレーに乗っているような気がします」

この「五感を通した感じ」は、あるいは若い人には実感が沸かないかもしれない。大人になれば、たとえばハーレーだけで十分という尖った時間を過ごすのは難しくなる。自分を構築するための要素が次第に増え、それらと向き合うことで個々のライフスタイルが形を成していく。藤井さんはそこに意識がまっすぐ向いている人だ。そしてまた、ハーレーに対して描き続けてきた“大人にならないと似合わない”イメージを、今この時点で体現してもいるのだろう。

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「普段の街着と変わらないんですよ、ハーレーに乗るファッションも。そう、ブーツはオーストラリアのブランドストーンで、カウボーイたちが馬乗りに使うものを履いています。これなら生きた馬にもそのまま乗れる。履きやすくて丈夫なんですよ。何というか、クルマも波乗りも、そしてハーレーも、変に気合いを入れたくないんですよね。自分に必要な道具を使いこなす感じかな。ただし、乗りたい日にハーレーがないこと。ましてや今日はハーレーの日だと感じられなくなるのは、僕の人生にとって最大のロス。ルーザーになってしまう瞬間でしょうね」

海沿いの国道ほど贅沢な場所はない

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8年の歳月を過ごしたクロスボーンズ。購入時にタンデムシートとシーシーバーを装着した以外はノーマルのまま。この佇まいに飽きはこないという。雨風がしのげるガレージで保管してはいるものの、海のそばゆえサビやすいが、それもあえて味として生かしているそうだ。

「友人やクライアントのオートバイ好きと、年に何度か箱根の温泉ツーリングに出掛けます。タンデムシートとシーシーバーは、そのツーリングで荷物を載せるために用意しました。知り合いのオートバイ好きは、みんなそれぞれ好みのタイプに乗っているんですよ。個性が表れたバラバラ感がいいんですよね」

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愚問と思いつつたずねてみた。クロスボーンズ以外のハーレーに興味はないのかと。
「茅ヶ崎のハーレーダビッドソン湘南にはよく顔を出して、最新モデルを常にチェックしています。最近気になっているのは、スポーツスターのフォーティーエイト。ライトな感じにも乗ってみたいですね。トライクも興味あるなあ。街乗りしたらなかなかでしょうね。でもやっぱり、クロスボーンズです。すでに現行カタログから落ちているし、スプリンガーフォークのモデルもないでしょ。ハーレーが素晴らしいのは、イヤーモデルのオリジナリティが高いから、時間が経っても古臭くないところです。昨日も近所でクロスボーンズに乗っている人とすれ違ったんですよ。同じモデルを好き同士、わかってるなあって感じで自然とハンズアップです」

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湘南でおすすめのスポット

湘南というロケーションでお気に入りのスポットを聞いてみた。
「七里ガ浜のパシフィックドライブインですね。海を眺めながらハワイアンのプレートを食べられるのは最高です。ハーレー乗りにうれしいのは、駐輪スペースが目の届くところにあること。その安心感は大事です」
それからもう一カ所。今回の撮影場所として藤井さんが指定した、国道134号線沿い稲村ケ崎駅入口交差点のそばにあるTARO’Sというカフェ。オーナーによれば、この地で40年近くも営業しているという。
「ずいぶん前からバイカーが集まる場所として気になっていました。この趣がいいでしょ。こっちに住んでから何度か寄ったんですが、何となくオーナーと言葉を交わせないままで……」。意外にもシャイな発言が飛び出したが、これを機会に自分のハーレーで毎日でも通えそうだとよろこんでいた。
「いずれにしても、この海沿いの国道がもっともお勧めの場所かな。多くの人はこの景色を見るためにここへ向かってくるけれど、稲村ケ崎に住んでいる僕には生活道路でもありツーリングコースにもなる。こんな贅沢はないですよね」

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右へ行けば江の島、さらには箱根。左へ行けば葉山、三浦。次のハーレー以外にない日、国道にぶつかる交差点を前にして、藤井さんとクロスボーンズはどちらのルートを選ぶのだろう。

PHOTO GALLERY

Text:田村十七男
Photos:横山マサト

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